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Channel: 碓井広義ブログ
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北海道新聞で、NHK朝ドラ「あまちゃん」について

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北海道新聞に連載している「碓井広義の放送時評」。

今回は、NHK朝ドラ「あまちゃん」について書きました。


トリプルヒロインが光る 朝ドラ「あまちゃん」
NHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)が始まったのは1961年。今期の「あまちゃん」は88作目にあたるが、半世紀以上におよぶ歴史を塗り替える、画期的な新作と言っていい。なぜなら、過去に例のない「トリプルヒロイン」の朝ドラだからだ。

確かに軸となるヒロインは天野アキ(能年玲奈)だ。しかし、その母親・春子(小泉今日子)も、祖母・夏(宮本信子)も脇役ではない。それどころか、3人が3世代ヒロインとして同格で描かれ、物語の中で拮抗しているのだ。「あまちゃん」の面白さ、楽しさの源泉はそこにある。

特に、このドラマの小泉は必見だ。24年前に聖子ちゃんカットで家出してから高校生の娘を連れて帰郷するまでの“女の軌跡”が全身から漂っている。しかもそれが元アイドルにして現在は個性派女優の小泉と重なって見えるのだ。ノーメークに近い顔。ややふっくらした体型を包む服装。そしてスナック「梨明日(りあす)」のカウンターの中から「あんた、本当にわかってんの!」とタンカを切る凄み。昨年の「最後から二番目の恋」(フジテレビ)でも光っていたが、今回の小泉は40代女性としてよりパワーアップしている。

能年の天然、小泉のヤンキー、宮本のガンコと、それぞれの素の持ち味が十二分に生かされているのは宮藤官九郎(くどうかんくろう)が手がける脚本のおかげだ。劇団「大人計画」の役者として出発し、やがて演出・脚本でも頭角を現した宮藤。ドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」などで見せたコメディのセンスが朝ドラという舞台でフル稼働している。すでに流行語になっている「じぇじぇじぇ」をはじめ、登場人物たちのユーモラスな会話で全体のトーンが明るい。得意の小ネタも繰り出してくる。

また、「あまちゃん」が試みているのは母娘3代の家族論だけではない。過疎の町とその再生という地域論。海女、漁師、潜水士などを通じての仕事論。さらに地元アイドルとネットやテレビの関係を探るメディア論まで物語の中で展開している。この辺りは、話題作「ハゲタカ」(07年)を制作した訓覇(くるべ)圭チーフ・プロデューサーの存在が大きい。ドラマが時代や社会を映す鏡であることを熟知しているのだ。

ドラマの設定は2008年だが、今後、東日本大震災を物語に取り込むプランもあるという。重過ぎるほどの現実が、このトリプルヒロインを通じてどう描かれるのか注目だ。

(北海道新聞 2013.05.13)

【気まぐれ写真館】 Mercedes-Benz 230 SL

晴天の屋外撮影実習

ドラマ「雲の階段」 見どころは長谷川博己の“葛藤”

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、日本テレビのドラマ「雲の階段」を取り上げました。


長谷川博己が上る
野心と欲望の危険な階段!
離島にある医師不足の診療所。医師免許を持たない事務員(長谷川博己)が、献身的な看護師(稲森いずみ)のサポートで医療行為を行っていた。

しかし急を要する令嬢(木村文乃)に手術を施したことから彼の運命が変わってくる。「雲の階段」(日本テレビ・水曜夜10時)は恋愛・医療・サスペンスの要素を併せ持つ欲張りなドラマだ。

見どころは主演・長谷川の“葛藤”である。無免許ではあるが、人の命を救っているという自負。その技量を極めたいという強い欲求。また稲森と木村、立場もタイプも違う女性2人をめぐる三角関係も複雑だ。自分の中で湧き上がってきた、人生に対する野心と欲望をどこまで解き放つのか。

そんな“内なるせめぎ合い”を、長谷川はオーバーアクションで見せるのではなく、ふとした表情や佇まいで丁寧に表現していく。その一方で、手術場面での「目ヂカラ」は半端ではない。

先週までの平均視聴率は9%。同じく平均で12%台をキープする「家族ゲーム」と裏表であることを思えば大健闘だろう。

それに物語の主な舞台が島から東京へと移り、ここからが勝負所となる。離島での手術はあくまでも患者の命を救うためだったが、東京の総合病院でのそれは自身の栄達のためでもあるからだ。

上るほどに致命的で危険な階段だが、そこからしか見えない風景もある。

(日刊ゲンダイ 2013.05.14)

17日(金)のゲストは、カリスマ編集者「中瀬ゆかり」さん

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5月17日(金)
BSジャパン 夜10時54分 
「大竹まことの金曜オトナイト」
http://www.bs-j.co.jp/otonight/






今回のゲストは、元「新潮45」編集長の中瀬ゆかりさん。

いやあ、パワフルです。

怖いものなし、です(笑)。

スタジオのトークも大爆笑の連続でした。



今週の「もえちゃん」


【気まぐれ写真館】 天王洲界隈

今夜は!「金曜オトナイト」

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進行役の繁田美貴アナウンサー(テレビ東京)

今夜10時54分からは、BSジャパン「大竹まことの金曜オトナイト」。

新潮社出版部部長の中瀬ゆかりさんがゲストです。



オリンピックとテレビメディア

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2週連続で、「現代文化としてのスポーツ」の講義。

これは複数の教員が分担して行うタイプの科目だ。

全学部学科の学生が履修できる科目で、ちょっと無国籍風の雰囲気が面白い。

先週は「スポーツドキュメンタリー」、今週は「オリンピックとテレビメディア」をテーマに講義を行った。

オリンピックが単なる「スポーツの祭典」ではなく、良くも悪くも典型的な「メディアスポーツ」であり、世界規模の「メディアビジネス」であることを解説。

さらに、実際の制作に携わった「長野五輪開会式」についても、その制作プロセスを軸に話をした。

授業の最後に感想を書いてもらうのだが、とても真摯に書いてくれているのが印象的だ。

ということで、この授業は、また来年。

みんな、おつかれさまでした。

【気まぐれ写真館】 スタジオ

週刊新潮で、NHK「青木祐子アナ」についてコメント

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発売中の「週刊新潮」最新号。

NHK「青木祐子アナ」の産休・育休に関する記事が掲載されました。

この中で、コメントしています。


NHK「青木祐子アナ」こそ
議論沸騰「育休3年」旗手
高い支持率を誇る安倍内閣。打ち出す政策はおおむねヒットゾーンに飛び込んでくるが、中には“ファウル”かどうかで揉めるものも。「育休3年」が代表例だ。

「企業の育児休暇制度は、現在、最長で1年6ヵ月ですが、それを首相は3年に延ばすよう、経済界に申し入れたのです」(経済部記者)
これが議論を読んだ。

「親が子どもを3歳までしっかり育てることは、その後の成長に良い」と、児童心理学者が言えば、多くの企業は「休業する社員の穴を埋める人材を雇う余裕がない」

肝心の女性たちも、「3年も休んで職場に戻ったら、元のポストには誰か代わりの人が座っているに違いない」と、不安を訴える。

だが、そんなカンカン諤々のはるか先を行く人がいる。NHKの青木祐子アナ(40)である。

「昨年3月に男の子を出産し、育休中ですが、先日、第2子妊娠が判明。この7月に出産予定で、仕事に復帰することなく、2度目の産休、育休に。前代未聞ではないでしょうか」(NHK関係者)

1年6ヵ月の育休を2回で、復帰は再来年にずれ込みそう。「育休3年」どころか、お休みは足掛け4年に及ぶことになる。

普通の会社ならば、戻る場所がないことにもなりかねないが、上智大の碓井広義教授(メディア論)によると、「NHKにはナレーションやラジオなど、アナウンサーの仕事がたくさんある。青山さんは看板アナだった人だから、いずれそれなりの番組が用意されることでしょう。

神田うのと付き合ったり、NHKらしからぬ麺がある青山さんですが、NHKにいるからこそ、それが生きる。決して民放に行こうなどと思わないことです」

母は強し!いやアオヤマは勁し!!

(週刊新潮 2013.05.23号)

【気まぐれ写真館】 ネオンサイン

楽しみにしていた「探偵はBARにいる2」だけど・・・

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「探偵はBARにいる2  ススキノ大交差点」

監督 橋本一
脚本 古沢良太・須藤泰司

大泉洋主演で東直己の小説を映画化して人気を博した「探偵はBARにいる」(2011)のシリーズ第2作。札幌・ススキノの探偵(大泉洋)と相棒兼運転手の高田(松田龍平)は、相も変わらず危ない仕事で日銭を稼ぐ日々を送っていた。そんなある日、友人だったオカマのマサコちゃん(ゴリ)が殺害される事件が発生。警察の捜査は遅々として進まず、探偵が独自に調査を始めるが、事件の背後にカリスマ政治家の影がちらつく。やがてマサコちゃんが熱狂的ファンだった美人バイオリニストの弓子(尾野真千子)が現れ、探偵に事件の真相を暴くよう依頼する。原作は小説のシリーズ第5作「探偵はひとりぼっち」。


私は長年、東直己さんの小説のファンだし、舞台は毎月通っている札幌だし、また第1作が予想外に面白かったので、楽しみにしていた新作です。

で、「どーよ?」と聞かれると、少し困る(笑)。

悪くはないけど、「いいぞお」と声を挙げるには至らないからだ。

まず、お話自体に、観客をぐいぐいと引っ張るほどの魅力がない。

映画全体もそうだが、大泉洋さんの「ススキノ探偵」も、シリアスとコミカルのバランスが悪いみたいで、1作目のように気持ちよくついていけない。

それに第1作って、もう少し原作に近いハードボイルド感があったと思うけどなあ。

アクションシーンは前作以上に盛り込まれているけど、ドタバタしていて、キレがない。それに松田龍平の強さに頼りっきりで、緊張感に欠けてしまったようだ。

尾野真千子が演じた「美人バイオリニスト」ってのも見合わない。
というか、やや無理筋で、単なる大阪のおばちゃんにしか見えませんでした(笑)。

「いや、この映画はそういうのが狙いなんだよ」と言う人がいるかもしれませんが、どうにも「2時間ドラマ」のテイストに終始していたようで、ちょっと残念。

全体の間延びした雰囲気がなんとも・・・。

そもそも原作選びは、これでよかったのか。

やはり映画はストーリー、脚本が大事だと、あらためて思いました。

週刊現代の『あまちゃん』緊急座談会

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本日発売の「週刊現代」。

NHK朝ドラ『あまちゃん』緊急座談会に参加しています(62ページ)。

ご一緒したのは、元NHKの松平定知さんと、アイドル評論家の中森明夫さん。

かなり面白い座談会になっていますので(笑)、仕事帰り、学校帰りにでも入手して読んでみてください。

週刊現代 『あまちゃん』緊急座談会 (前半)

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週刊現代(6月1日号)の『あまちゃん』緊急座談会に参加しました。

まあ、語る3人がそれぞれに熱いこと(笑)。

以下は、前半部分です。


【緊急座談会】
松平定知×碓井広義×中森明夫

じぇじぇじぇ! 
連ドラ『あまちゃん』にハマっちゃったべ


ありえない透明感

松平 『あまちゃん』のロケ地である岩手県久慈市はこのGW、観光客が押し寄せて大盛況だったみたいですね。これから夏にかけてもっと増えるでしょう。
中森 初回から安定して20%超えという高視聴率ですからね。単純計算すればおよそ2500万人が見ていることになる。
碓井 私は長年朝ドラを見続けていますが、『あまちゃん』は10年にひとつの傑作だと思っています。
松平 私も毎朝欠かさず、家内と一緒に見ています。数少ない夫婦団欒の時間になっています(笑)。
中森 私は脚本がクドカン(宮藤官九郎)で、小泉今日子が出るというから、見始めたんです。すると想定を超えて面白くって、毎朝ツイッターで実況しています。それに反応して達増拓也岩手県知事も連絡をとってきてくれたりして、盛り上がりは大変なもの。こういう中高年男性は案外多いんじゃないかなあ。
碓井 老若男女、どの世代にも受け入れられるつくりになっていますよね。能年玲奈演じるヒロイン・アキ、小泉今日子演じる母・春子、宮本信子演じる祖母・夏と3世代の物語を本当にバランスよく織り交ぜていますから。実際うちの母は80代ですが、私と同じように毎朝笑いながら見ています。
中森 私にとってはなによりヒロイン。能年玲奈ですよ。かわいい! 長年忘れていた「透明感」という言葉を思い出させてくれました。
碓井 魅力的な美少女ですよね。いやらしさを感じない。純朴な天然少女を演じてもわざとらしくない。一生懸命で応援したくなる。スター女優の才を感じます。
中森 ヒロインの能年玲奈と、その親友役の橋本愛は10年、映画『告白』ですでに共演しているんです。中島哲也監督はそのキャスティングの際、「中学生の話だから、役者も15歳以下に絞る」とこだわったんですが、唯一オーバーエイジで選んだのが当時16歳の能年玲奈だった。中島監督は当時から「彼女は特別だから」と明言していました。
 そんな美少女が、海女のかすりはんてんを着て海に飛び込み、潜る。その躍動する姿だけでも見る価値がありますよ。
松平 たしかに水しぶきをあげて飛び込むシーンは、清々しい気持ちになりますね。朝見るのに最適だと思います。
碓井 『あまちゃん』の素潜りの映像の力はすごいですよ。見ているだけで楽しい。海底の青い画面は美しいし、ボンベをしないから顔も見える。テレビドラマにおける発明だと思います。
中森 海から上がってきたら全身びしょびしょで、そこもまたかわいい。彼女を見ると幸せな気分になりますよ。

実在の小泉今日子について

松平 東北弁が織り込まれた台詞がまたいいですよね。エスプリが利いていて実に面白い。言葉そのものは平易なんですが、これが実際に掛け合いになると、途端に生き生きとしてくる。特に北三陸の地元民の方々の会話は傑作で、ずっと聴いていたいくらい。毎日一言一句聞き逃すまいとしていますよ。
碓井 ユーモラスな会話劇に定評のあるクドカン脚本ですからね。でも、やはり松平さんのような言葉のプロだとそういうところを気にされるんですね。
松平 一つだけ気になっていることがあるんですよ。皆さん「あまちゃん」の「ま」にアクセントを置いて発音されていますが、それでは「海女」ではなくて「尼」になってしまう。正しいアクセントは「あ」のところだと思うんです。
中森 言われてみればそうですね。
松平 もしかしたら東北の方言なのかもしれませんが、少し気になります。
碓井 方言と言えば「じぇじぇじぇ!」(東北の方言で、驚いたときに使う)ですよね。ヒロインの能年玲奈じだけじゃなく、登場人物がことごとく言うから、不思議に耳に残る。
中森 流行語大賞狙えるんじゃないでしょうか。私もツイッターやメールで頻繁に使ってます(笑)。
松平 しかし主演の能年さんだけでなく、杉本哲太さん、木野花さん、渡辺えりさん、荒川良々さんなど、バイプレイヤーも抜群ですよね。
碓井 キャスティングも本当に素晴らしいですね。おそらくこれほど舞台の実力者が出演している朝ドラはかつてなかった。
 それになんと言っても小泉今日子。かつてのアイドルが本当にいい女優になりました。あのキョンキョンがほとんどノーメークということで、旧来のファンからは少なからず批判もあるそうですが、おかげで40代女性のリアリティを表現できている。
松平 アキが新人海女として地元のアイドルになって、テレビ出演が決まりそうになったとき、あのキョンキョンが自分の娘に向かって「あんたみたいなブスがアイドルになれるわけないでしょ!」って叫ぶんですから、驚きましたよ。
碓井 でも彼女がそんなに激する理由も、物語が進展して、わかってきた。小泉今日子演じる春子は実は「アイドルを目指して上京して夢破れた主婦」だった。だから、たいした意志もなくアイドルになろうとしている娘に嫉妬していたわけです。
中森 アイドル中のアイドルである小泉今日子が、アイドルのなりそこないを演じるんだから、たまらないですよ。にくいキャスティングです。
碓井 上京した時のまま、時間が止まったように保存されている春子の部屋には、当時の春子の憧れのアイドル・松田聖子のポスターがでかでかと張ってある。
中森 その部屋を春子が出て上京したのは1984年という設定なんですが、なぜ1984年なのか。ここが重要だと思うんです。
 現実のその年、キョンキョンは『渚のはいから人魚』で初めてオリコン1位を獲得し、トップアイドルになっています。でもその部屋を埋め尽くすポスターやレコードには、松田聖子や山口百恵はいても、キョンキョンはいない。つまり『あまちゃん』の世界は、「小泉今日子がアイドルとして成功できなかった」パラレルワールド。言わば『あまちゃん』はクドカン版『1Q84』なんですよ。
松平 おお! なるほど!(笑)

(後半へ続く)

今週の「読んで、書評を書いた本」2013.05.21

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発売中の「ニューズウイーク日本版」(2013.5.21号)。

特集が、「日本人が知らない村上春樹」です。

ジャーナリスト、小説家、記者が分析する、アメリカでの村上作品。

また、韓国、フランス、ノルウエー、中国での評価や受けとめられ方も紹介されています。

やはり世界文学、なんですよね。




今週の「読んで、書評を書いた本」は、以下の通りです。

伊坂幸太郎 『ガソリン生活』 朝日新聞出版

浅野温子 『わたしの古事記〜「浅野温子 よみ語り」に秘めた想い』 
PHPエディターズ・グループ

下重暁子 『この一句〜108人の俳人たち』 大和書房

大竹 聡 『ギャンブル酒放浪記』 本の雑誌社

石田 千 『役たたず、』 光文社新書

* 書いた書評は、
  発売中の『週刊新潮』(5月23日号)
  読書欄に掲載されています。




こちらもトリプルヒロイン!? 「ラスト・シンデレラ」 

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、フジテレビ「ラスト・シンデレラ」について書きました。


こちらの“涼子”もお忘れなく!
37歳の米倉涼子がミニの制服姿で頑張っているが(日本テレビ「35歳の高校生」)、こちらの“涼子”も、「お忘れなく!」とばかりに元気ハツラツだ。「ラスト・シンデレラ」(フジテレビ・木曜夜10時)の篠原涼子、39歳である。

役柄は、仕事はできるが「彼氏いない歴10年」という美容師。その“おやじ女子”ぶりが笑えるが、最大の強みは篠原を含め3人の女性をヒロインとしたことにある。未婚の篠原、バツイチで肉食系の飯島直子、そして夫と子供がいる大塚寧々。

NHK朝ドラ「あまちゃん」が3世代で縦のトリプルヒロインだとすれば、こちらは横並びのトリプルヒロインだ。篠原と年下のBMXライダー(三浦春馬)、また同期の美容師(藤木直人)との関係が物語の軸だが、それ以上に他の2人が気になる。

飯島はこれまでの欲望一直線な生き方を変えようとしているし、大塚は夫以外の男性との出会いにドキドキしている。篠原はたとえ三浦に翻弄されようと、藤木とすったもんだしようと、まあ、大丈夫。しかし、飯島や大塚にはこの世代の女性特有の危うさがあり、目が離せないのだ。

実はこのドラマ、放送開始から一度も視聴率を下げたことがない。
13%台でスタートし、毎回じわじわと上げて先週は15%まできた。
篠原の奮闘に加えてのトリプルヒロイン効果である。

(日刊ゲンダイ 2013.05.21)


週刊現代 『あまちゃん』緊急座談会 (後半)

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発売中の週刊現代に掲載されている『あまちゃん』緊急座談会。

これに参加させてもらっていますが、読み返すと、あらためて宮藤官九郎さんの脚本の凄さに感心します。


【緊急座談会】
松平定知×碓井広義×中森明夫

じぇじぇじぇ! 
連ドラ『あまちゃん』にハマっちゃったべ

 (後半)


3・11をどう描くか

中森 これでクドカンも一躍国民作家ですね。
碓井 彼も元々はマイナーな舞台人。ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)や映画『GO!』でゼロ年代初頭に颯爽と登場し、一部の若者には絶大な支持を得ていたけれど、幅広い層にウケる脚本家ではなかった。だからクドカンにとって『あまちゃん』は、言わば第二のメジャーデビュー作。勝負の一作だったはずです。
中森 この他にも、八木亜希子が元女子アナ役だったり、今後薬師丸ひろ子がアイドル役で登場予定だったり、ドラマ世界と現実世界が入り交じっていて、様々な深読みができる。それもこのドラマの面白いところだと思います。
松平 王道的な朝ドラとしてしっかりクオリティを保ちながら、こうしてツッコミどころをたくさん仕込んでくるクドカンの手腕というのは恐ろしいですね。
中森 本当に脱帽ですよ。先日は、アキの親友役の橋本愛が、映画で共演した俳優の落合モトキとフライデーされ、その翌週に落合が『あまちゃん』に登場したりして、「これもクドカンの演出なのか?」と一瞬疑ってしまった。それも『あまちゃん』が現実と虚構を越境するドラマになっているからです。
松平 NHKの公式発表によれば、ドラマの後半、アキが上京してアイドルグループ『GMT(ジモト)47』の一員として奮闘する物語になるとか。海女ドラマからアイドルドラマに大きく舵を切るようですね。私としてはついていけるか不安です(笑)。
中森 私にとっては望むところなんですが(笑)。
でもそういう展開になったときに、中年男性の水先案内人を務めるのが小泉今日子でしょう。小泉今日子というのは、特別なアイドル。30年間アイドルとしてやってきて、いまでもアイドルです。このドラマは彼女がいたからこそ成立したと言えます。小泉今日子は影の主役といってもいいかもしれない。
碓井 今後のことで言えば、もう一つ気になるのが、東北(宮城県)出身のクドカンが、3・11をどう描くか、ということです。おそらくそのために、『あまちゃん』の舞台は、わざわざ08年と少しだけ過去に設定されている。
中森 朝ドラというのは本来、女の一代記であると同時に、戦争の物語でもあるんですよ。『おしん』だって『澪つくし』だって、戦争がドラマの重要なファクターとなっていました。だから終戦記念日の頃になるともんぺを履いて空襲、というのがかつての朝ドラのパターン。近年はすっかり忘れ去られていましたが、『あまちゃん』では3・11が戦争の代わりになるわけです。
碓井 被災から2年が経ちますが、日本のドラマはまだ一度も正面から東日本大震災を描けていません。昨年の話題作『最高の離婚』(フジ系)は震災をきっかけに結婚した夫婦のドラマでしたが、舞台は東京だった。おそらく『あまちゃん』は日本初の本格的震災ドラマになります。
中森 能年玲奈のいまの凛々しくかわいらしい顔が、3・11という極限を前にした時、どう変わるのか。その顔が見たい。
碓井 その震災の描き方の予想のひとつのカギは、ナレーションだ、という話があります。
松平 ナレーションは祖母・夏役の宮本信子さんが担当されていますよね。あれもハマリ役だと思います。
碓井 ナレーションは普通、第三者的に、いわゆる神の視点で物語をナビゲートするか、登場人物が回想として心の声をナレーションするか、のどちらか。でもこの夏のナレーションは、その両方をこなし、さらに夏以外の登場人物の心の声も語る。役も神も超越してしまっているわけです。
 ここから「夏は11年の震災で亡くなってしまうのではないか。そして霊となって08年に遡行してアキたちを見守っているのではないか」という予測もあるようです。
中森 鋭い意見ですね。そう考えれば色々と合致してくる。
松平 震災後、アキはどんな行動をとると皆さんは予想されますか?
碓井 アイドルとして三陸に戻るんじゃないでしょうか。被災した地元の人々の元に駆けつけ、震災と向き合う。そこにアイドルを描くことの意味があると思うんです。

ドラマと現実の境目が消える

中森 震災以来、現実のアイドルであるAKB48が被災地訪問を続けている姿と重なりますね。
碓井 そうですね。中森さんのような専門家の前でアイドルを語るのもおこがましいのですが、私はアイドルというものは、人を元気にさせる存在だと定義しています。その意味でアイドルは、最も遠いように見えて、最も朝ドラのヒロインにふさわしい職業かもしれない。
中森 私は能年玲奈が劇中のアイドル名義でCDデビューするんじゃないかと睨んでいるんですよ。それで紅白歌合戦に出場する、と。朝ドラ主演女優としてではなく、「天野アキ」という歌手として。
 97年の朝ドラ『ふたりっ子』では、劇中歌手のオーロラ輝子がCDを出して大ヒット、その年の紅白にも出場しましたから、ありえない話ではない。
松平 大友良英作曲、クドカン作詞で、小泉今日子が歌うドラマオリジナル曲『潮騒のメモリー』も発表されましたからね。期待していいかもしれません。
碓井 そうなるといよいよ現実と虚構がないまぜですね。面白くなりそうです。
中森『あまちゃん』は本当に文句なしのドラマなんだけど、ひとつだけ苦言があるんですよ。ドラマの直後に始まる『あさイチ』です。
 キャスターの有働由美子アナと井ノ原快彦(∨6)が、冒頭でいちいち「じぇじぇ!」とか言いながら、ドラマの感想をコメントするんです。せっかく爽やかな気分になっているのに、急に現実に戻される。あれはやめていただきたい(笑)。
碓井 わからないでもありませんが……。
中森 だから最近は『あまちゃん』が終わったら慌ててテレビを消すようになりました。
松平 私はノーコメントで(笑)。

(週刊現代 2013.06.01号)


週刊現代 『あまちゃん』緊急座談会(前半)
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/12d676d5551435d5d6e215a54d65e2ab

授業「テレビ制作」で映像編集の実習

24日(金)夜の「金曜オトナイト」 ゲストは井筒監督

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5月24日(金)
BSジャパン 夜10時54分 
「大竹まことの金曜オトナイト」
http://www.bs-j.co.jp/otonight/






本日(24日)午後は、HTB「イチオシ!」生出演です

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本日(24日)は札幌へ。

HTB「イチオシ!」でのコメンテーターです。

放送は、15時47分から。



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