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2018年度の「碓井ゼミ」、始まる


週刊朝日で、有働由美子さんについて解説

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NHKの肩書捨てた有働由美子の“勝算”は?
有働由美子が、朝の人気情報番組「あさイチ」のMCを降板後、27年間勤めたNHKを退局した。NHKを代表するアナウンサーが選んだ次の道は、現場主義のジャーナリストだ。

芸能評論家の三杉武さんは「東京五輪まではアナウンサーとして活躍できるでしょうが、その後は管理職として後輩の指導に当たることになったのではないか」と、退局の背景を分析する。

その有働だが、NHKを通じ、「海外での現場取材や興味ある分野の勉強を自分のペースで時間をかけてしたいという思いが捨てきれず、組織を離れる決断」をしたとコメントしているが、入局前は各地を飛び回る特派員に憧れ、新聞記者を志していた。2011年12月の「AERA」のインタビューで、「国際部の記者になりたくてNHKを受けた」が、アナウンサーとして採用されたと明かす。

07年の人事異動で、アメリカ総局の特派員に就き、08年には管理職に昇進したが、周囲には「現場で、ずっとやっていきたい」と、当時から第一線へのこだわりを見せていたようだ。

今回の有働の決断はどのように映ったのか。有働と仕事をした経験のあるNHK職員は、有働の著書『ウドウロク』(新潮社)を熟読し、有働が海外に興味を持っていると感じていた。「電撃退職には驚いたが、ジャーナリストに転身すると知り、やっぱり海外で取材をしたかったんだなと合点がいった」という。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は「『NHKの有働』は唯一無二の存在。明るさ、親しみやすさ、また等身大の自分を見せる潔さで広く受け入れられてきました。たとえばわき汗の話題でも、取り繕わず視聴者に伝えていましたよね。決して上から目線にならず、『皆さんと同じ一人の女性ですから』というスタンスが見事でした」と評価すると同時に、「アナウンサー出身の女性が、組織運営に関わる理事などのポジションに就いてもいい時代。NHKで働く女性のロールモデルとして道を切り開いてほしかった」と惜しむ。

退局後の初仕事は今夏放送予定のNHKBSプレミアムのドキュメンタリー「世界プリンス・プリンセス物語」の第3弾で、元NHK記者・池上彰との共演がささやかれるが、NHKは「現時点では何もお答えできません」と回答。ジャーナリスト有働さん、これからも、チェスト! きばれ!(本誌・岩下明日香)

(週刊朝日 2018年4月20日号)

『名探偵コナン』のアニメ監督・松園公さんがスケッチした「実相寺昭雄研究会」 2018.04.13

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手前左側に座っているのが私です

表参道「本の場所」で・・・

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萩原健太さん(音楽評論家)、川崎徹さん(小説家)と・・・


レギュラー化を希望したくなった、春のドラマスペシャルとは!?

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1月クールの連続ドラマが先月末に終わり、4月クールのそれがまだ始まらないこの時期。何本ものドラマスペシャルが放送されています。中には「これってレギュラー化してもいいのでは?」という作品もありました。

『ミッドナイト・ジャーナル~消えた誘拐犯を追え! 七年目の真実』

今年開局50周年を迎えるテレビ東京が、3月30日に春の記念ドラマ『ミッドナイト・ジャーナル~消えた誘拐犯を追え! 七年目の真実』を放送しました。原作は、本城雅人さんによる社会派サスペンス小説『ミッドナイト・ジャーナル』(16年、講談社)。若干のアレンジはあるものの、基本的な設定はそのままに映像化されていました。

主人公は中央新聞さいたま支局の県警キャップ・関口豪太郎(竹野内豊)です。7年前に起きた悲惨な事件の際、生存していた被害者の女児を、死亡と伝える大誤報で左遷された経験をもっています。実際には整理部の勇み足だったのですが、関口は潔く責任を負いました。

管内で女児連続誘拐事件が発生し、関口は7年前の事件との類似性に気づきます。同一犯ではないか、という疑念を持ったのです。本社に応援を依頼すると、やってきたのは女性記者の藤瀬祐里(上戸彩)でした。彼女は例の誤報騒動の際、一緒に糾弾された仲です。そこに新人記者の岡田昇太(寛一郎)を加えた3人の<チーム関口>が、社内外で軋轢を生みながらも、粘り強い取材で真相へと迫っていきます。

関口の信条は「真実を早く正しく伝えること、それがジャーナル」というもの。周囲、特に東京本社の連中からは、スクープにこだわると揶揄されていますが、関口が本当にこだわっているのは人の命です。また堅物の県警管理官(松重豊)の自宅に夜討ちをかけて、飲めない酒を一緒に飲む姿や、妻を亡くした後、別れて暮らしている娘への思いも微笑ましい。

竹野内豊&上戸彩のコンビが光った

竹野内さんは、このストイックともいえる姿勢で取材に没入する記者の内面まで、実に丁寧に演じていました。上戸さんもまた、竹野内さんの集中力に背中を押されるかのように、凛とした大人の女性記者になりきっていました。

竹野内さんで思い出すのが、かつて2夜連続で放送されたドラマスペシャル『オリンピックの身代金』(13年、テレビ朝日系)です。1964年の東京五輪をめぐって繰り広げられる緊迫のサスペンスでした。

東大院生・島崎(松山ケンイチ)の兄が五輪施設の工事現場で急死します。季節労働者として無理を重ねた結果でした。日本の経済成長を支えながらその犠牲となる人々と、置き去りにされる地方の現実に憤った島崎は、国家を相手に犯行計画を練ります。

事件を追うのは、竹野内さんが演じた捜査一課の刑事・落合。彼自身もまた戦争体験を持ち、妹(黒木メイサ)と島崎の関わりなど、その心中は複雑でした。今回の関口も、新聞社という組織に対する憤りや、死に目にも会えなかった妻に対する自責の念など、その思いはやはり複雑で、どこか落合に通じるものがありました。

記者たちはどのようにネタをつかみ、いかなる方法で裏どりを行い、どんな記事にしていくのか。新聞というメディアの本当の役割とは何なのか。この作品は良質のサスペンス&人間ドラマですが、一種の企業(職業)ドラマとしても十分見応えがありました。

本当は連続ドラマで見たいのですが、毎週というのが大変であれば、季節ごとのレギュラースペシャルでも構いません。チーム関口の地に足のついた取材ぶりと記者魂を、また見てみたいものです。

産経新聞で、TV局入社式について解説

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なぜ芸能人呼ぶ?TV局入社式 
「すごいぜ、うち」 視聴者、食傷気味
テレビ局や大手企業の入社式に今年もさまざまな芸能人が登壇し、そのことがニュースにもなった。テレビ局では慣例化し、視聴者には食傷気味の感も。その一方で、この春は初めてネット放送局の入社式に芸能人が姿を見せた。これは、何を意味するのだろうか…。

芸能人登場はステータス

237人の新入社員から黄色い歓声があがった。服飾雑貨大手のサマンサタバサジャパンリミテッド(東京都港区)の入社式に、俳優の新田真剣佑(まっけんゆう)さん(21)がサプライズ登場し、頬を紅潮させた新入社員らにあいさつしたのだ。

新田さんは同社のCMキャラクターを務めており、広報担当者は「新入社員に喜んでもらうため、入社式には10年以上前から、その時々でご縁のある芸能人をお呼びしている」と明かす。

芸能人を入社式に呼ぶことは、企業にとってステータスのひとつになっている。上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、「会社の内部イベントに人気芸能人が登壇することで報道陣を集め、大手企業らしさを演出できる」と指摘。さらに「芸能人を呼ぶことができる会社に対し、新入社員の胸に『すごいぜ、うち』という社員としてのプライドが生まれる効果がある」と話す。

碓井教授によると、その効果を最大限に利用し続けているのが、芸能界と密接な関係があるテレビ局だという。

愛社精神

放送業界の入社式は、芸能人の参加がもはや「慣例」化している。今年も日本テレビを除く在京キー局とNHKで、それぞれの番組に出演する芸能人が姿を見せた。

テレビ東京では、放送12年目のバラエティー番組「モヤモヤさまぁ~ず2」(日曜夜6時半~)を出演するお笑いコンビ「さまぁ~ず」。担当者は「テレビを通して見ていた出演者と間近で接することで、新入社員にテレビマンになる喜びと責任を感じてもらいたい」と話す。

TBSテレビでは、嵐の二宮和也さん(34)。新入社員にエールを送るとともに、主演の日曜劇場「ブラックペアン」(22日夜9時スタート)をそつなくアピール。テレビ朝日では、新ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」(19日夜9時スタート)から、女優の波瑠(はる)さん(26)らが入社式に現れた。

芸能人が登場する入社式が春の風物詩になっていることについて、ネット上では「調子に乗っているとしか思えない」「うらやましがれってこと?」などの声も挙がっているが、局側にとっては、新入社員に対して愛社精神を育むパフォーマンスができるとともに、出演番組の宣伝もできるとあって一石二鳥。今後も「テレビ局の入社式=芸能人が参加」という構図は続くだろう。

ネット放送局の“参入”

テレビ局の慣例に追随するように、今年はスマホ向けのネット放送局「アベマTV」を保有するサイバーエージェント社も、俳優の三浦翔平さん(29)を入社式に招いた。

三浦さんは、同社の藤田晋(すすむ)社長(44)の自伝をベースにしたアベマTVオリジナル連続ドラマ「会社は学校じゃねぇんだよ」(21日夜10時スタート)の主演。藤田社長や新入社員と一緒にドラマタイトルの看板を掲げながら記念撮影を行った。同社の広報担当者は「エンターテインメントを提供する会社として、今年初めて芸能人を呼んだ」と話す。

碓井教授は、「ネット放送局も入社式に芸能人を呼ぶことで、『オレたちもテレビ局だぞ』というアピールをはじめた」と分析する。

仮に放送とインターネット通信との垣根をなくす放送制度改革が進めば、さまざまな事業者がテレビ局の放送設備を使って番組を流せるようになり、既存のテレビ局が地上波チャンネルを独占する時代は終わる可能性もある。

ネット放送局を保有する同社が入社式に芸能人を呼んだことは、もしかしたら地上波チャンネル参入への意欲の表れ、あるいはそんな未来図の先取りといえるのかもしれない。〔文化部 三宅令〕

(産経新聞 2018.4.14)

週刊新潮で、朝ドラ「半分、青い。」についてコメント

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朝ドラ好発進、
母役「松雪泰子」「原田知世」の貫禄
40代後半以降の世代には、何とも懐かしい2人である。4月からスタートしたNHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」で、主人公の楡野鈴愛(すずめ)と同じ日に同じ産院で産まれた萩尾律のそれぞれ母親役を務める、松雪泰子(45)と原田知世(50)だ。
松雪の演じる晴(はる)は大衆食堂のおかみ、一方の原田が演じる和子(わこ)は裕福な写真館の奥様。対照的だが、2人とも舞台となる「ふくろう商店街」きっての看板美人、何より優しい母親でもある。

ヒロイン役が登場するまで子役が主人公を演じ、脇役陣がドラマを支えるのがいつもの朝ドラのパターンだが、今回は特に“懐かし”の2人が引っ張る。1週目が終わっての平均視聴率は20・1%。まずは好発進のようだ。

「同時出産から子供を巡ってやり取りするシーンなど、これまでの朝ドラにないほど印象深く母親2人を描いているのを感じます。2010年に日テレ系で放映された『Mother』では疑似親子の母親を見事に演じていた松雪さん。今回はいたって世間的な母親役ですが、彼女のキビキビした感じに対してホンワカした雰囲気の原田さん、お互いが個性そのままで演じているのがいいですね」

そう語るのは、上智大学教授の碓井広義氏。

作家の麻生千晶氏もいう。

「年を取ってもきれいで好感度の高い2人、そりゃ中年のオジサンたちは、皆チャンネルを合わせるでしょう。これで主演の永野芽郁(めい)さんと相手役の佐藤健さんが登場して恋愛話などになれば、大人の2人は後ろに引くのでしょうが、中高年男性の視聴者を取り込むにはいいキャスティング。作、脚本を務める北川悦吏子(えりこ)さんの計算ずくの演出ですよ。朝ドラは北川さんにとって初の試み、出身地の岐阜を舞台にし、自らの体験を随所に盛り込むなど、かなりの力の入れようです」

松雪、原田の後には“真打ち”が待つ。少女漫画家を志すヒロイン鈴愛の師匠役として、「トヨエツ」こと豊川悦司が登場するのだ。北川作品とは縁が深い。

世のオバサマ方も夢中になること間違いなし。

(週刊新潮 2018年4月19日号)

「黒井戸殺し」違和感も ドラマ化が難しいクリスティ小説

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「黒井戸殺し」違和感も
ドラマ化が難しいクリスティ小説
14日に放送されたドラマ「黒井戸殺し」(フジテレビ系)の原作は、アガサ・クリスティの長編小説「アクロイド殺し」だ。

のどかな郊外の村で富豪のアクロイド氏が殺害される。彼の姪が助けを求めたのが、引退してこの村で暮らす名探偵ポアロだ。使われたトリックが衝撃的で、1926年の発表当時、「フェアか、アンフェアか」という論争が起きたほどの作品である。

三谷幸喜(写真)の脚本はポアロを勝呂(野村萬斎)、語り手のシェパード医師を柴医師(大泉洋)としながら、「ポアロ物」としての基本は外していない。また「全員が容疑者」という前提で構成されており、ネタばれも心配せずに楽しめた。

ただ気になったことが2点ある。1つは野村萬斎のややオーバーな演技。ポアロと勝呂は別人格かもしれないが、話し方や表情を少し抑えたほうがよかったのではないか。

もう1点は容疑者のひとり「復員兵の男」だ。このドラマの設定は昭和27年であり、さすがに兵隊服姿の復員兵が町を歩いている時代ではない。

3月末にテレビ朝日系でも同じクリスティ原作の「パディントン発4時50分」と「大女優殺人事件~鏡は横にひび割れて~」が流された。しかし、どちらも「ミス・マープル」という主人公自体を大幅に変更したため、かなりの違和感があった。クリスティの小説は確かに面白いが、ドラマ化は意外と難しい。

(日刊ゲンダイ 2018年04月18日)

書評した本: 川本三郎 『映画の中にある如く』ほか

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週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。


川本三郎 『映画の中にある如く』
キネマ旬報社 2700円

『キネマ旬報』で連載中の「映画を見ればわかること」をまとめた最新刊だ。「クロワッサンで朝食を」のライネ・マギの美しさ。「ハンナ・アーレント」から連想する丸山眞男。そして、俳優の中で「誰よりも倫理的だった」高倉健のこと。映画の細部に神が宿る。


山口 瞳:著、小玉 武:編 
『山口瞳ベスト・エッセイ』
ちくま文庫 1026円

『江分利満氏の優雅な生活』や『居酒屋兆治』などで知られる作家、山口瞳。この文庫オリジナルに並ぶのは、31年間続いた本誌連載「男性自身」から選ばれた、向田邦子を偲ぶ「木槿の花」など名作エッセイの数々だ。「美的でないものは悪だ」の精神が蘇る。


鹿島 茂 
『悪の箴言(マクシム)
~耳をふさぎたくなる270の言葉』
祥伝社 1944円

社会に2つの不幸が蔓延している。「右派的で強引な政権運営」を止められない不幸と、「もうひとつの希望ある選択肢」を持てない不幸だ。政治思想を専門とする著者は、「立憲主義」を検証することでこの国の明日を探っていく。保守の本来の意味が見えてくる。

(2018年4月12日号 )


中島岳志
『保守と立憲
 ~世界によって私が変えられないために』
スタンド・ブックス 1944円

社会に2つの不幸が蔓延している。「右派的で強引な政権運営」を止められない不幸と、「もうひとつの希望ある選択肢」を持てない不幸だ。政治思想を専門とする著者は、「立憲主義」を検証することでこの国の明日を探っていく。保守の本来の意味が見えてくる。

(2018年4月5日号)

札幌から、取材班がやって来た!

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HTB北海道テレビ「民放の日」特集のインタビュー取材です

産経新聞で、「財務次官セクハラ問題」テレ朝の対応についてコメント

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【財務次官セクハラ問題】
「社員を守るため毅然と抗議すべきだった
テレ朝の初期対応に識者指摘
財務省の福田淳一事務次官(58)による女性記者へのセクハラ問題をめぐり、テレビ朝日が19日未明、被害者は自社の女性社員であることを会見で明らかにした。福田氏はなおもセクハラを否定するが、世間との感覚の「ずれ」を指摘する声は強い。一方、会見では女性社員が、発言を隠し録りした音声データを第三者である週刊新潮に提供していたことが明確になった。セクハラ告発が目的とはいえ、報道の倫理を侵すことにならないのか。識者の間でさまざまな意見が上がった。

「辞任でも救済されず」

「どういう調査をしたか知らないが、(会話の)全体をみればセクハラに該当しないことは分かるはずだ」

19日朝、福田氏は記者団からテレビ朝日が女性社員のセクハラ被害を公表したことについて問われると、自身のセクハラ行為を改めて否定した。

こうした対応について、セクハラに詳しい大阪大の牟田和恵教授(ジェンダー論)は「そもそも発言の根底には、エリートの立場を利用し、誰も自分には楯突くことはできないという思いがある」とした上で、「簡単に非を認めるはずがない。言った側はいつまでも言い逃れをする」と話す。

「セクハラは組織の問題。福田氏が辞任したからといって被害者は救済されない。疑惑の真相解明がうやむやになることはあってはならない」。こう訴える牟田教授は「財務省としてもきちんと内部調査を行い、問題のある行為だったと反省し、被害者への謝罪、全ての女性記者が働き続けられるような再発防止策に取り組む必要がある」と強調した。

一方、元財務官僚でもある嘉悦大の高橋洋一教授は「政策的な話と違い、セクハラは反論すればするほど立場が悪化する」と言及。「本来なら組織を守るために財務省OBが福田氏に進言して身を引かせるべきだったが、それができなかったという意味では、OB・現役も含め財務省という組織に余裕が無くなり、弱体化している」と分析した。

隠し録り「身を守るため」

今回、福田氏の辞任の「決め手」となった音声データ。テレビ朝日によると、女性社員は福田氏との1対1の会食の際にセクハラ発言が続いたことから「身を守るため」に会話を無断で録音していたという。通常、取材では相手に断った上で録音し、音声を公開する際にも了承を得ることが多く、「隠し録り」はいわば「不意打ち」ともいえる取材手法だ。

ただ、立教大の服部孝章名誉教授(メディア法)は「勧められたものではないが、政治家や行政のトップを取材する際に、公益性、公共性のために隠し録りを使って報道することが必要な場面は出てくる」と指摘。今回のセクハラ問題も「音声データがなければ言った言わないの話にされ、うやむやになっていた」とみる。

専修大の山田健太教授(言論法)も「セクハラ被害を訴える際に記録は不可欠で、発言の録音は一般的な社会常識に沿った行為。通常の取材における無断録音とは異なり、報道倫理とは切り分けて考えるべきではないか」としている。

リーク「緊急避難的行為」との見方も

意見が分かれるのが、取材で得ていた情報を第三者である週刊新潮に提供していた点だ。

テレ朝は、女性社員が音声データの一部を週刊新潮に提供したことについて、「報道機関として不適切な行為」として遺憾の意を表明した。記者が取材で得た情報を外部に提供することは通常の報道活動とは大きく異なり、過去には処分を受けたケースも多い。

「女性社員の行動は記者の倫理に反する」と見るのは日本大の福田充教授(危機管理学)。「女性社員は財務次官に『テレビ朝日』という組織を名乗って向き合っており、そこでの出来事を他の媒体に持っていって報道することは信義則に反する。ジャーナリズム全体の信頼を損ないかねない行動だ」と問題視する。

一方、メディアの動向に詳しい国際医療福祉大の川上和久教授(政治心理学)は、「倫理違反」という点については同意見ながら、「女性社員が人権を守るための緊急避難的な行為だったとみなすことができる」と擁護。服部氏も「問題なのは、データを外部に提供したことではなく、テレビ朝日の度量が狭くて自社で報道できなかったことだ」と述べた。

判断ミス「闘うべきだった」

識者が総じて批判するのは、セクハラを訴えた女性社員に対するテレ朝の初期対応の不適切さだ。同社によると、セクハラを報じることを相談された上司は、本人が特定され二次被害の恐れがあるという理由で「報道は難しい」と告げていたという。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は「女性社員は上司の判断に『(セクハラを)かわしてうまくやれ』というニュアンスを受け取ってしまった可能性がある。本来なら女性社員とともに闘うべきだったが、訴えがあった時点でそのような判断ができなかったのは残念だ」と語った。

「記者という職業上、相手の懐に入るためには少々のことは我慢すべきという空気が業界に蔓延(まんえん)していることも推察される」と話すのは、企業の法令順守に詳しい関西大の森岡孝二名誉教授(企業社会論)。「社内調査でセクハラと認定した対応は評価できるが、他社の報道を受けてであり、相手が権力機構だろうと一般人だろうと社員を守るために毅然と抗議することが必要だったのではないか」と分析した。

テレ朝は産経新聞の取材に対し、19日未明の会見以降、「視聴者からさまざまなご意見をいただいた」としたが、件数や内容については明らかにしなかった。

(産経新聞 2018年4月20日)

【気まぐれ写真館】 「夏日(なつび)」の夕景

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夏日=最高気温が25度以上となった日

ハンディは「個性」 NHK朝「半分、青い。」 

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週刊テレビ評
NHK「半分、青い。」 
ハンディは「個性」爽やか
NHK連続テレビ小説「半分、青い。」がスタートした。ヒロインの誕生以前、母親の胎内にいた時点から描き始めるという、なかなか凝った作りの導入部だった。主人公の楡野鈴愛(にれのすずめ)(永野芽郁(めい))が生まれたのは1971年7月7日。岐阜県東濃地方の町で食堂を営む楡野宇太郎(滝藤賢一)と晴(松雪泰子)夫妻の長女だ。

鈴愛は小学3年生の時、左の耳が聴こえなくなってしまう。恐らく朝ドラ史上初の「ハンディキャップを持つヒロイン」の登場だ。開始前、そのことがどう描かれるのか気になっていたが、基本的に「障害ではなく個性なんだ」という姿勢であることがわかり、ほっとした。鈴愛は「障害のある女の子」ではなく、「個性的でユニークな女の子」なのだ。

聴力を失った左耳は常に耳鳴りがしているが、鈴愛は「左耳、面白い。小人(こびと)が歌って、踊ってる」と言う。この感性が素晴らしい。踊る小人は秀逸な「例え」だ。耳鳴りを小人に「見立てる」ことで、自分が持つハンディキャップの「解釈」も変わってくる。

思えば、人生のどんな出来事も自分の解釈次第なのかもしれない。もちろんこれは鈴愛というより、脚本の北川悦吏子の優れた表現力のおかげだ。その意味では、タイトルの「半分、青い。」こそ最高の例えと言えるだろう。

他にもこのドラマには楽しい例えがいくつも出てくる。鈴愛は母親の晴のことを、「怒ると(『マグマ大使』に出てくる)ゴアみたいだ」と言っていた。

また鈴愛と同じ日に生まれた萩尾律(佐藤健)の母、和子(原田知世)は、息子から「時々、説教臭い」と指摘され、「出来損ないの金八先生みたい」とNHKらしからぬ例えで自分のことを笑っていた。しかも武田鉄矢の「このバカちんが!」という物まね付きだ。

かつて「あまちゃん」(2013年)で話題となった80年代文化だが、他にも松田聖子の歌から温水洗浄便座までさまざまなアイテムを登場させて楽しませてくれている。成功例を踏まえた目配りが見事だ。

そしてドラマの序章を盛り上げたのは晴と和子だった。同時出産から子供を巡ってやり取りするシーンなど、これまでの朝ドラにないほど印象深く母親2人を描いている。キビキビした感じの松雪と、ホンワカした雰囲気の原田。それぞれが個性を生かして団塊世代の母親像を演じているのだ。

現在、鈴愛は高校3年生。永野芽郁の生き生きとした表情が、見る側を朝から元気にしてくれる。同じ高校に通う律との関係に注目しながら、この爽やかな青春ドラマを楽しみたい。

(毎日新聞 2018年4月21日)

デイリー新潮で、「岡本圭人」上智大中退についてコメント

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Hey! Say! JUMP「岡本圭人」が上智大を中退 
「あの大学は芸能人には向かない」との声
「すべてはぼくの力不足です」――。「女性セブン」18年5月3日号(小学館)で、Hey! Say! JUMPの岡本圭人(25)が、2012年に入学した上智大学国際教養学部を、昨年(17年)夏に退学していたことを明かした。しかも、一度は自主退学したものの、思い直して復学した結果の中退という。 

 高学歴化が進むジャニーズ事務所のタレントたちだが、なぜ?

 ***

 昭和生まれの方には、男闘呼組の岡本健一(48)の息子、と言ったほうが通りがいいかもしれないが、父と共にジャニーズ事務所に所属する“ジャニーズ2世”が岡本圭人だ。

「彼が通っていた上智大学国際教養学部というのは、1学年50人ほどと人数も少なく、帰国子女や留学生など英語に堪能な学生が多い。入試は公募制推薦とTOEFLまたはIELTSの点数と英文レポートの提出で行われる書類選考で決まり、いわゆる一般入試とは違います。入学後も授業はすべて英語で行われますから、大変だと思いますよ」とは、上智大学のOBである。

とはいえ圭人は、父・健一の方針で、9歳から5年間、英国に留学し、帰国後もインターナショナルスクールに通ったという。英語は堪能なはずだ。

上智大学の碓井広義教授[63](メディア文化論)は、

「国際教養学部に限りませんが、上智大学は他の大学に比べると規模はそれほど大きくない。これは校風でもありますが、各定員が少なく、何百人もの学生が入れる大教室もありません。多くても100人、通常は30~40人ほどの教室で、学生それぞれの顔が見える授業を行うことが多いんです。出欠を取る授業も多く、代返など効きません。芸能活動をしながら、というのは、厳しいでしょうね」

意外に多い上智出身芸能人

 もっとも、かつて上智大学を卒業した芸能人は多いのだ。川平慈英(55)、早見優(51)、西田ひかる(45)、BENI(32)、クリスタル・ケイ(32)、青山テルマ(30)など、圭人が中退となった国際教養学部やその前身である比較文化学部、さらに前身の外国語学部比較文化学科の卒業生たちである。

「最近は特に、出欠には厳しくなってきています。それは国際教養学部ばかりではありません。都心にある大学なので、通いやすいメリットはあるでしょうけど、上智大学には芸能人枠があるわけでもありませんから、仕事との両立はなかなか厳しい」(同)

 その昔、芸能人の学校といえば、堀越高校や明治大学付属中野高校(定時制)などが相場であった。だが昨今のジャニーズには、高学歴のタレントが増えている。嵐の櫻井翔(36)は慶應大を卒業し、ニュース番組「NEWS ZERO」(日本テレビ系)のキャスターを、NEWSの小山慶一郎(33)は明治大卒で「news every.」(同前)のキャスターを務めるなど、バラエティ番組の司会とは一線を画す領域に踏み込んでいる。高学歴は仕事の幅を広げるようだ。

 ところが最近の上智大学を見てみると、文学部新聞学科に在籍中、政治好きとして数多くの番組に出演していた春香クリスティーン(26)も、結局は単位が取れず、一昨年(16年)に除籍となっている――圭人クンは行くべき大学を間違えたのではないか。

代返なんて昔の話

 キャンパスナビネットワークを運営する大学通信の安田賢一常務が解説する。

「時代が違いますよ。いまは上智だけでなく、大学は出欠に厳しくなっています。文部科学省は、少子化により誰でも大学に入れる“大学全入”となってから、学生の質の低下を懸念して安易に卒業させない教育をするよう大学に求めたのです。いくら期末試験でいい点数をとっても、出席数が足らなければ単位は与えないとか、誰でも“優”がもらえる授業はやめるというもの。かつての日本の大学は、入るのは難しいが卒業は簡単、といわれていましたが、それを許さないというわけです。大学側も出欠の確認にはGPSのついたiPhoneで教室にいるかどうか確認できるシステムを取り入れたり、駅の改札を通るようにSuicaで出欠をとる学校もあります。授業を休むには証明書が必要なところもある。そうなれば欠席の理由が『芸能活動のため』とは言えないでしょうね」

 辛いのは学生ばかりではないというのは、とある大学教授である。

「半期に15回以上の授業を行わなければなりませんし、休講にしてしまったら、休日をつぶして補講を入れなければならない。だから学生だって休講を喜びません。それに最近の学生は、素直に授業に出るんですよね。『お前ら、それでも大学生か』と言いたくもなりますが、ここ10年ほど厳しくなってきた様に思います。大学での教育成果は、文科省に報告、チェックされて、上手くいっていなければ助成金が減らされるわけです。私立大学だって、いまや助成金なしではやっていけないのですから、従わざるを得ませんよ」

 中退は「すべてはぼくの力不足です」と圭人は反省しているが、仮に早稲田や慶應に入ったとしても、それなりに真面目に通わなければ、卒業はできないということらしい。 

 その圭人と入れ替わるように、この4月より上智大学国際教養学部へ通っているのが、Sexy Zoneのマリウス葉(18)。ドイツ人の父と日本人の母の下、ドイツのハイデンベルクに生まれた、日本語、ドイツ語、英語に堪能なトライリンガルで、昨年は米ハーバード大学で行われた世界各国の高校生28人によるサミットにも参加したとか。英語の授業に困ることはなないだろう。

 さて、彼は無事卒業できるか――。

(デイリー新潮 2018年4月24日)

「未解決の女 警視庁文書捜査官」 本当の主役は誰か!?

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脇役の鈴木京香が主演の波瑠を食う?
女性版「相棒」の試み
主演は波瑠(26)。脚本が大森美香。これってNHK朝ドラ「あさが来た」(2015年)の組み合わせだ。それが今回は刑事ドラマ「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレビ朝日系)である。しかも変種の刑事物で、主役たちの任務は未解決事件の文書捜査なのだ。ヒロインの矢代朋(波瑠)は熱血刑事。体を張った捜査で負傷し、復帰してみると「特命捜査対策室第6係」への異動が待っていた。

地下にある元・文書保管倉庫の部屋にいたのは「文書解読」のエキスパート、鳴海理沙刑事(鈴木京香)だ。他に定時退庁が決まりの係長・財津(高田純次)、コワモテの刑事・草加(遠藤憲一)らがいる。

先週の初回では若い女性の連続変死事件が発生。彼女たちの部屋に、10年前に殺害されたミステリー作家・嶋野泉水(中山美穂)の著作があったことから再捜査が始まった。

事件の捜査においては同じ捜査1課の第3強行班などが主役で、「文書解読係」の6係はあくまでサポート部隊であり、脇役だ。しかし、その脇役が主役を食うような活躍を見せるところが、このドラマの醍醐味なのだ。

特に「倉庫番の魔女」と呼ばれる鳴海理沙が展開する、文章心理学をベースにした推論が冴えていた。一見とっぴな推測も、それを重ねることで隠れていた真相が明らかになる。鳴海が部下である朋を自在に動かしていく様子はかなりの見ものだ。

その意味では、本当の主役は波瑠ではなく鈴木京香なのかもしれないが、まあ堅いことは言わず、この女性版「相棒」の試みを楽しめばいい。

(日刊ゲンダイ 2018.04.25)

週刊新潮で、「福田セクハラ次官問題」についてコメント

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福田セクハラ次官問題 
「なぜ自社で報道できないか」の疑問に答える
セクハラオヤジから“口撃”された女性の告発の舞台が、なぜ本誌(「週刊新潮」)なのか――。騒動を扱う情報番組でコメンテーターや司会者が口にしている、この単純な疑問に頷いた視聴者も少なくなかろう。お説ごもっとも。ならばいま一度、端的に説明させていただきます。

たとえば、4月15日のTBS系「サンデー・ジャポン」。「今回ちょっと思ったのはね」と、テリー伊藤。

「本当だったらああいうことがあったら自分が属しているメディアに対して言えばいいのに、(中略)事務次官の方だって当然、誰だってことは分かるわけじゃない。彼女自身がやりにくくないのかなあと思って」

この翌日。日本テレビ系の「ミヤネ屋」では、

「女性記者の方だったら、なんでそれを週刊新潮さんに持っていくんですかね。自分でできないんですかね」

元読売巨人軍の宮本和知がこう言い、宮根誠司は、

「だから結局そうなってくると、特定されてしまうってことがあるんですかね」

これらを約(つづ)めれば、「被害女性たちは、なぜ自社で報道できないか」となる。

それにはまず、「自社」に訴えたことのある女性の声をご紹介しよう。彼女は40代、大手新聞社の勤務だ。

「社会部記者でした。情報源からのセクハラを受けいれてネタを引いているとか、ただならぬ関係にあるんじゃないかと疑われて口惜しい思いをしたので、会社に相談したのです」

すると、どうなったか。

「幹部に呼び出され、“ひとりの人間を潰す気か”と叱責されました。情報源の勤務先に洩れて迷惑がかかったらどうするんだ、と」

記者クラブと会社の看板

次官の件とはいささか異なるが、そもそもの問題は、「日本は、組織ジャーナリズムで動いていますから」と、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)。

「記者クラブのような組織に属し、会社の看板を背負うからこそ取材ができるのです。そういったなかで自らが属する媒体で被害を報じれば、同僚が取材現場でなんらかのリミットをかけられることは火を見るより明らか。福田次官の件がそんな相手の立場の弱みを巧みに利用した、卑怯な手口だったといっても、彼女たちもセクハラを受けて、そこで帰ってしまえば、会社から“なにやってんだ”と言われてしまうんですよ」

具体的に言えば、こういうことだ。財務省を担当するデスクの解説。

「セクハラに反発したりすれば、その女性記者が所属する社は財務省から嫌がらせをされて“特オチ”(※他社は報じているのに、自社だけが逃したニュース)が待っている。そうなると同僚にも迷惑がかかります」

これは検察や警察、各省庁の記者クラブにもあてはまる。政治家相手も然り。

「新聞やテレビの記者がもっとも避けたいのが特オチです。特オチは会社の看板に泥を塗るだけでなく、記者の評価にも直接、響く。つまり、ひとりの女性記者がセクハラで声をあげると、その社のクラブ員が特オチし、評価を下げられる可能性がある。それが分かっているから、女性記者は多少のセクハラにもニコニコ笑って耐え、取材相手に愛敬を振りまくわけです」

たとえば、財務省担当の至上命題のひとつに、日銀総裁人事がある。

「それで特オチしようものなら、それこそ地方の支局に飛ばされます。最強官庁と呼ばれる財務省は情報の出し入れがうまく、記者を使った情報操作にも長けている。日ごろから財務省の意に沿う原稿を書いていないと、日銀総裁人事が取れないといった仕打ちを受けるおそれがあります」

いかがでしょう? なぜ自社で報道できないか、お分かりいただけたのでは。

(週刊新潮 2018年4月26日号)

【気まぐれ写真館】 四ツ谷駅前夕景

書評した本: 松田行正 『デザインの作法~本は明るいおもちゃである~』

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週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。

松田行正 『デザインの作法~本は明るいおもちゃである~』
平凡社 2,484円

私の師匠である故・実相寺昭雄監督の遺品を整理していて、ある本を見つけた。サイズはほぼ新書と同じだ。真っ赤な背表紙の下の位置に四角い黒地が配され、そこに白文字で「チェーホフ全集」とある。

この赤い背表紙は樹脂っぽい手触りだが、表紙自体は真っ黒な布で覆われている。そして左下の隅に小さくチェーホフのサインがある。それは布に窪みを作って背表紙と同じ赤い樹脂を押し込んだものだ。シンプルだが凝っている。本全体に独自の佇まいというか、一種の美学が感じられた。版元は中央公論社で、発行は58年前の昭和35年だった。

新刊が紙の本と電子書籍の両方で同時発売される時代だ。電子版の便利さを享受しながらも、圧倒的に紙の本を愛用している。ブックデザイナーである松田行正のこの新著を読むと、紙の本の魅力を再認識することができる。また本が単なる情報の入れ物ではないことも。

著者は本のデザインの流れを説明する中で、本の質感には4種類あるという。手触りなどの質感。配慮という質感。意外性など感情の落差を生み出す現象的質感。そして思い出の本にあるような「意味のオーラ」的質感だ。こうした質感が本というものの内容を深めていく。

いくつもの実例が登場する中で、池井戸潤の小説『陸王』の話が興味深い。この本では様々な「イメージの引用」がなされている。カバー・デザインは、靴箱に印刷された大正モダニズムのロゴ・マークという見立てだ。

表紙の大きな円の中に書名(作中で開発するランニングシューズの商品名でもある)と著者名。その上下の小さな円には、ランナーのシルエットと小説に出てくる足袋屋のトンボ・マーク。伝統の技を現代に活かそうとする主人公の心意気が伝わってくる。

本のデザインの作法を知ることは、本をより楽しむための作法を知ることでもあったのだ。

(週刊新潮 2018年4月5日号)

【気まぐれ写真館】 札幌 気温12℃

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