クルマ雑誌は、主に「ENGINE」と「ベストカー」を愛読しています。
「ベストカー」は隔週刊というテンポがちょうどいい。
この雑誌で楽しみにしているのが、3つのページです。
清水草一さんと前澤義雄さんの「デザイン水かけ論」。
テリー伊藤さんの「お笑い自動車研究所」。
そして、徳大寺有恒さんの「俺と疾れ!!」でした。
でした、と書かなくてはならないのが実に残念。
徳大寺さんが、11月7日に亡くなってしまったのです。
実は亡くなった後から出た「ベストカー」にも、「俺と疾れ!!」は連載されていました。
まるで、それまでと何も変わっていないかのように、「徳さんへの質問をメールでも受け付けます!」の文字もあって。
でも、もう徳大寺さんは、いらっしゃらないんですねえ。
多くの人と同様に、私が徳大寺さんを知ったのは、その著書『間違いだらけのクルマ選び』でした。
毎年、毎年、新しいものが出るのを楽しみにしていました。
しっかりこの本の影響を受けていて、80年代に、2代目ゴルフを手に入れています。
とにかく、クルマに関する基礎というか、本質というか、教えて下さったのは徳大寺さんでした。
番組で、ご一緒したこともあります。
というか、作り手として、番組に出ていただいたんですね。
90年代、NHKの近くにあった渋谷ビデオスタジオの地下駐車場で、徳大寺さんをお迎えしたことを覚えています。
乗っていらしたクルマは、ジャガーとかではなく、確かローバーだったような・・・。
まったく偉そうな素振りはなく、丁寧に挨拶されて、その日のスタジオも、とても協力的でした。
収録が終わり、徳大寺さんが運転するクルマが、駐車場からゆったりと出ていった光景も忘れていません。
「ベストカー」最新号の表紙、「ありがとう徳さん」の文字を眺めながら、合掌です。
今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。
<長め>
松岡圭祐 『探偵の探偵』 講談社
宮沢章夫 『NHKニッポン戦後サブカルチャー史』 NHK出版
小山力也 『古本屋ツアー・イン・神保町』 本の雑誌社
橋本麻里 『京都で日本美術を見る~京都国立博物館』
集英社クリエイティブ
* これらの書評は、
発売中の『週刊新潮』(12月18日春待月増大号)
読書欄に掲載されています。