日刊ゲンダイで、TBSの「ドラマ枠」削減についてコメントしました。
つぶすのは簡単かもしれませんが、復活させるのは至難の業となってしまうのがドラマです。
記事タイトル:
ついに伝統の「木21時」枠も店じまい
ドラマのTBS 瓦解寸前
・TBSは、この秋、「木曜21時」枠を、ドラマからバラエティーに変更するという。
・「水戸黄門」などを流していた「月曜20時」枠に続いく、ドラマ撤退だ。
・消滅の決め手は、直近3作となる「ヤメゴク」「美しき罠」「夫のカノジョ」の連続的低視聴率。
・・・・以下、私のコメント部分です。
〝木9〟は71年10月以降、良質な作品を量産してきた。
上智大教授(メディア論)の碓井広義氏が「ドラマのTBSを支えた伝統的な枠のひとつ」と話すように、代表格は「3年B組金八先生」「渡る世間は鬼ばかり」「HOTEL」など。
いずれも長年にわたってお茶の間の笑いと涙を誘い、学園もの、家族ものに金字塔を打ち立ててきた枠にもかかわらず、放棄するとは一体、TBSはどうしたのか。
「直近3作品を見る限り、企画そのものの失敗といわざるを得ない。いずれも共感できる登場人物がひとりもおらず、流行りの事象や話題を取り上げただけ、目先の受け狙いに終始した印象で、ターゲットとする視聴者像が見えてきませんでした。基本的に、ヒットするドラマは物語自体が文句なしに面白く、世代や性別を問わず支持されます。同枠の制作陣は果たして、自分たちが本当に作りたい、面白いと思う作品を手がけていたのか。たしかにドラマ冬の時代と久しくいわれ、厳しい状況ではありますが、視聴率低迷=ドラマ全体が衰退していると捉えるのは早計。視聴者の目が肥え、駄作が淘汰されるようになったのです。今後、制作のチャンスが減ることでTBSのドラマ制作の力が痩せ細らないことを願うばかりです」(前出=碓井氏)
深夜帯にドラマ枠を新設するというが、夜更けとプライムは別物だ。「ドラマのTBS」という看板はなかなか元に戻らない。
(日刊ゲンダイ 2015.06.25)