日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回の掲載分では、ペプシストロングゼロ「桃太郎」の新作を取り上げました。
サントリー食品インターナショナル「ペプシストロング ゼロ」
古くて新しい桃太郎の物語
物語CMの傑作として定着した、人気シリーズの最新作だ。今回スポットが当たるのは桃太郎の仲間であるキジ。
力で一族を支配していた兄のカラスが鬼の仲間となった上、自らも鬼と化してしまう悲劇が語られる。圧倒的な想像力と映像で生み出されるのは、炎の戦場である。
それにしても、なぜ桃太郎の物語なのか。理由としてまず挙げられるのは、多くの人が常識として共有する、日本一有名なストーリーとキャラクターだということだ。
次に、昔の和歌(本歌)を自作に取り込んでいく技法、「本歌取り」の伝統に則った作品であること。
さらに、近年当たり前になった、先行する創作物のキャラクターを利用した「二次創作」にも該当する。つまり、古くて新しいクリエイティブの形がここにあるのだ。
自分より強いヤツを倒すには、仲間の存在が不可欠。友情・努力・勝利は「週刊少年ジャンプ」のモットーでもある。桃太郎たちの戦いの旅は続く。
(日経MJ 2015.08.03)