日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今回は、「花咲舞が黙ってない」について書きました。
日本テレビ系「花咲舞が黙ってない」
なぜ、これほど支持されたのか
今週、最終回を迎える「花咲舞が黙ってない」。先週までの平均視聴率は14%を超え、他のドラマが低調だったこともあり、一人勝ちと言っていい。なぜ、これほど支持されたのか。
「花咲――」は、「半沢直樹」(TBS系)同様、銀行が舞台のドラマだ。舞(杏)が所属するのは、トラブルを抱えた支店を指導する臨店班。まず、この設定が効いている。
なぜなら、毎回、舞が異なる支店を訪れ、問題解決に奮闘できるからだ。水戸黄門が行く先々の藩で悪を暴き、不正を正すパターンを踏襲している。窓口業務のように同じ支店に居続けていたら、舞の活躍は困難だった。
しかも、舞はあくまでも一般行員である。“天下の副将軍”水戸光圀公のように、印籠一つで相手を平伏させることは出来ない。悪の小権力を倒す、正義の大権力ではないのだ。
そんな舞が、たとえ相手が上役であっても、間違ったことや筋の通らぬことに対しては、「お言葉を返すようですが・・」と一歩も引かないから痛快なのである。
もう一つ、舞が単独ではなく、同じ臨店班の相馬健(上川隆也)とコンビで動いていることも大きい。舞の背中を押したり、ブレーキをかけたりと忙しい相馬。舞の暴走に手を焼きながらも、陰で支えてくれる“相棒”の存在は、物語に膨らみを与えている。一歩引いた上川の好演も功績大だ。
(日刊ゲンダイ 2015.09.15)