日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、ドラマ特番「彼女が恋した職人さん」について書きました。
「彼女が恋した職人さん」
テレビ東京ならではの、
意欲的なドキュメンタリードラマだった
昨年、テレビ東京系で放送された「LOVE理論」。“ラブ理論マスター”を演じたのが、当時、恋愛騒動の渦中にあった片岡愛之助だったこともあり話題になった。深夜のドラマ特番「彼女が恋した職人さん」(6日放送)は、「LOVE理論」を手がけた西古屋竜太監督の新作である。
主人公は大学生の巧(千葉雄大)だ。外国史学の教授(竹中直人)に、カナダからやって来たマリー(テイラー)の案内役を頼まれる。彼女の目的は、日本の「職人の技」に触れてリポートを書くこと。2人の珍道中が展開される。
この番組の特色は、全体はフィクションのドラマでありながら、登場する職人は実在する人たちであることだ。江戸指物師の木村正さん、大阪・堺市で本焼き包丁を作る池田良一さん、そして金沢の加賀友禅作家である白坂幸蔵さんなど、まさに“日本の匠”というべき人たちが“本人”を演じているのがほほ笑ましい。
若い2人に向かって、丁寧に自分の経験を語る匠たち。一見地味な仕事の中に生きがいとやりがいを見いだし、伝統を継承していこうとする姿に頭が下がる。また、彼らの手作業を紹介する映像も見る側の興味を引いた。
「和風総本家」をはじめ、日本の職人技という“鉱脈”を見つけ育ててきたテレビ東京ならではの、意欲的なドキュメンタリードラマだった。
(日刊ゲンダイ 2016.01.13)