「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
適菜 収 『現代日本バカ図鑑』
文藝春秋 1404円
週刊誌の連載コラム「今週のバカ」を単行本化。73組の著名人が並ぶが、著者によれば、バカとは知識の有無ではなく、価値判断ができないこと。特に政治家の判断は国民の生命に関わるので始末が悪い。最多登場は安倍首相、次点が菅義偉と石原慎太郎である。
高畠保春 『東京ソウル・バー物語』
シンコーミュージック 1620円
ソウル・バーは魂の酒場ではなく、ソウルミュージックが流れるバーである。しかも著者が選ぶのは、15歳でディスコ通いのママや、元レコード会社勤務のオヤジなど、「ヘンタイさん」がいる店だ。東京はもちろん、札幌や福岡にも生息するヘンタイ店主たちに乾杯。
石川直樹 『ぼくの道具』
平凡社 1620円
著者は辺境から都市までを踏破する写真家。ヒマラヤの高峰を撮ったシリーズで知られる。本書には山での装備から身に着けるもの、さらに小物まで、愛用する96点の旅道具が並ぶ。いずれも豊富な経験から吟味された品々だが、機能美を超えた美しさがそこにある。
(週刊新潮 2016.03.10号)