Quantcast
Channel: 碓井広義ブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5568

産経新聞で、今期「大人の恋愛ドラマ」について解説

$
0
0



【ZOOM】
4月期ドラマ終盤戦 
「大人の恋愛」もの増える
4月スタートの連続ドラマが終盤戦を迎えている。

今期は恋愛ドラマが多く、中でも30~40代が主人公の「大人の恋愛ドラマ」が豊富。NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)から巣立っていった「朝ドラ女優」の活躍も目立っている。また、視聴率は伸び悩んでいてもインターネットなどでは評価の高い作品もある。(本間英士)

春の連続ドラマのうち、「恋愛」を主なテーマとして扱っているのは、日本テレビ系「世界一難しい恋」(水曜午後10時)や、フジテレビ系「ラヴソング」(月曜午後9時)など8作。フジ系「医師たちの恋愛事情」など、恋愛ものが3作程度しかなかった昨年4月期と比べると、このジャンルの作品が増えていることは確かだ。

中でも、主人公やその“お相手”が30~40代のケースが多い。例えば、TBS系「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」(金曜午後10時)と、フジ系「早子先生、結婚するって本当ですか?」(木曜午後10時)の2作品は、30代女性の「婚活」がテーマだ。その一方で、栗山千明主演のテレビ朝日系「不機嫌な果実」(金曜午後11時15分)など、大人たちの恋のさや当てを丁寧に描いた作品もある。

「大人の恋愛ドラマ」が増えた理由について、ドラマに詳しい上智大の碓井広義教授(メディア論)は「大人の女性はドラマ好きが多く、いわば視聴者層の“大票田”。ドラマの制作側も、若者より大人をターゲットとしている傾向にある」と指摘する。

朝ドラ出身女優が活躍

コラムニストの桧山珠美さんは「朝ドラ出身女優」の活躍を指摘する。その好例が、前の朝ドラ「あさが来た」で主演を務め、現在は「世界一難しい恋」にヒロイン役で出演している波瑠(はる)だ。同作は、出演陣の誇張気味な演技や先の読めないストーリー展開などが話題を呼んでおり、視聴率も12~13%と好調をキープしている。

さらに、昨年の朝ドラ「まれ」でヒロインを演じた土屋太鳳(たお)も日テレ系「お迎えデス。」(土曜午後9時)にヒロイン役で出演。TBS系「重版出来!」(火曜午後10時)の黒木華(はる)も、平成26年の朝ドラ「花子とアン」で知名度を大きく上げた。

桧山さんは「今のドラマ界はまさに朝ドラの『1強多弱』状態」と指摘。「人気の朝ドラで話題になった俳優は、ヒロインから脇役に至るまで、どの局も起用したがっている。『朝ドラ人気』にあやかりたいという気持ちがあるのでは」と話している。

視聴率では測れない?

4月期のドラマで視聴率が好調なのは、TBS系「99・9-刑事専門弁護士-」(日曜午後9時)。第2話の視聴率は19・1%を記録した。ストーリーの「どんでん返し」の爽快感と一話完結型の見やすさが特徴で、桧山さんは「ヒットの法則をしっかりつかんだドラマ」と評価する。

一方で、碓井教授と桧山さんが共通して指摘するのが、今期は「視聴率は伸び悩んでいても見ていて面白いドラマが多い」という点だ。2人は、出版社の女性新人編集者の奮闘を描いた「重版出来!」を今期のおすすめドラマとして挙げる。

同作の視聴率は7%台が中心。決して高くはないが、「仕事系ドラマとして完成度が高く、ヒロインの黒木さんがその実力を発揮している。見ないまま終わるのは惜しい」(碓井教授)。

録画機器や動画配信の普及により、近年はドラマの「ヒット作」が世帯視聴率に表れにくくなっている。そのため、視聴率では「不調」とされるドラマでも、その内容がネットで評判を呼ぶケースも近年増えている。

碓井教授は「あらかじめ視聴率やネットの評価を確認した上で、『評判の良い作品しか見ない』『時間を無駄にしたくない』と考える『損したくない症候群』の人が増えている。数字が悪くても面白いドラマはあり、視聴率やネットの評判だけで見る作品を決めてしまうのはもったいない」と話している。

(産経新聞 2016.06.07)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 5568

Trending Articles