日曜の夜、選挙特番をザッピングしながら見て、「うーん、なんだかなあ」という気分のまま、月曜の朝を迎えました。
今後のことを思うと、かなりしんどい結果になっていると思います。
たまたま投票日前の土曜に、北海道・新十津川町で行われたセミナーで、テレビメディアが参院選挙について報じる量が少なかったことを話しました。都知事選ばっかりでしたね。
毎日新聞によれば、「NHKを含む在京地上波テレビ6局の参院選関連の放送時間は、2013年の前回より3割近く減った」そうです。
全体量が少ないので、当然、政権与党の選挙戦略である「改憲隠し」なども、特にテレビでは突っ込んだ議論がありませんでした。
こういうのを“忖度”といいます。
忖度して、メンドーな報道は控えちゃたわけです。
11日(月)に、内田樹先生が、ツイッターで以下のように書いていました。
転載しておきます。
おはようございます。 深夜まで開票速報を見ながら、おじさん四人でテレビ画面に向かって毒づいていたので、すっかり疲れてしまいました。
朝日新聞の電話取材がありました。
コメントの要点は
(1)「改憲」を争点にせず、ひた隠しにして3分の2取ったら「改憲」にアクセルというのは予測の通り。
(2)一人区で野党が前回選挙より議席を大きく伸ばしたこと(2勝29敗から11勝21敗へ)は、野党共闘が現実的な選択だったことを証明した。
(3)福島と沖縄で現職大臣が落選したのは「政治の現実」に日々否応なく向き合わされている選挙区の現実感覚を示した。
(4)メディア経由で送られる「政治ファンタジー」を見せられているだけの有権者と、現実の政治に向き合っている有権者の間の温度差が広がっている。
(5)政党間の「陣取りゲーム」にのみ焦点を合わせ、個別政策の適否や候補者の見識品性などを問わない態度を「政治ファンタジー」と呼びたい。
(6)「新有権者への言葉」を求められたので、「メディア・リテラシーを高めてください」とお答えしました。皆さんが見ているのは「現実そのもの」ではありません。現実についての様々な「物語」です。(僕の談話が掲載されている)この新聞もテレビも現実そのものを伝えてはいません。
世界がこれからどう変わるか、誰にもわかりません。アメリカがどうなるか、EU がどうなるか、中東アフリカがどうなるか、中国やロシアや北朝鮮がどうなるか、誰にも予測できません。日本国民が慣れ親しんだ「アメリカ任せの属国マインド」では転換期は生き抜けません。
アンテナの感度を上げて、情報を精査して、できるだけ多様な視座から、ものごとを観察し、吟味し、文脈を読み、適切な解を選択してください。「ラベルを貼って終わりにする」という思考停止的な態度は皆さんの知性の働きを危うくするだけです。というのが僕から若い市民たちへのメッセージです。
(内田樹さんのツイッターより 2016.07.11)