日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、北川景子主演のドラマ「家売るオンナ」について書きました。
日本テレビ系「家売るオンナ」
ユーモアあふれる“仕事ドラマ”に仕立てた、
大石静の脚本に拍手
北川景子といえば、昨年の「探偵の探偵」(フジテレビ系)が印象に残る。北川は全身から怒りのオーラを発するヒロインを、キレのいいアクションも披露しながら見事に演じていた。その後、DAIGOの妻(!)になったりしたが、この「家売るオンナ」(日本テレビ系)で本格復帰だ。
中堅不動産会社の新宿営業所に、成績抜群の営業ウーマン・三軒家万智(北川)が異動してくる。不動産って高額商品だからね。そう簡単に売れるもんじゃない。しかし、万智は違う。何しろ「私に売れない家はない!」のだ。北川が外連味いっぱいにキメ台詞を言い放つたび、堂々のコメディエンヌぶりが笑える。
先週の物件は坂の上の売れ残りマンション。相手は元々一軒家を探していた医師夫妻だ。万智は彼らの1人息子に注目する。忙しい両親に甘えることも出来ず、どこか寂しそうな少年だ。万智の中にひらめくものがあり、結局、彼らはマンションを購入する。
この初回を見て、彼女がスゴ腕である理由が分かった。その家族が抱えている、しかも本人たちさえ気づいていない問題点や課題を見抜くのだ。家はその解決に寄与するツールとなる。
つまり万智は家を売っているのではない。家を通じて“生き方”を提案しているのだ。これをユーモアあふれる“仕事ドラマ”に仕立てた、大石静の脚本に拍手である。
(日刊ゲンダイ 2016.07.20)