日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、フリマアプリ「フリル」のCM、手数料篇を取り上げました。
フリマアプリ「フリル」手数料篇
理不尽さ際立つ
山田さんの怪しさ
相変わらず山田孝之さんはカメレオン俳優だ。
コワモテ闇金「ウシジマくん」にも、脱力系ヒーロー「勇者ヨシヒコ」にも見事に成りきってしまう。そして、フリマアプリ「フリル」のCM「手数料篇」が、これまた怪しくておかしい。
フリマで買い物をした女性が5000円を支払おうとしている。いきなり現れたチンピラ風の山田さん。すっとお金を取り上げ4500円を売り主に手渡す。差額の500円は手数料だと言うのだ。
「取られているのは君だけじゃない。俺も取られているからね」と、山田さんが説明すればするほど理不尽さが際立つ。
怪訝(けげん)な表情の売り主と同様、視聴者だって納得がいかない。追い打ちをかけるように「販売手数料ってバカバカしい」とナレーションが入り、「手数料ゼロ」のアピールが俄然効いてくる。
「日本一の無責任男」といえば往年の植木等さんだが、いま、「日本一うさんくさい男」は山田さんの称号だ。
(日経MJ 2016.11.07)