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日経新聞で、「地方局と4K」についてコメント

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地方局4Kに挑む 生き残り賭けノウハウ蓄積
独自の番組を国内外に販売

4Kで番組作りに挑む地方局が増えている。最新の映像技術を武器に、全国や世界の放送・動画配信業者に番組を提供し、存在感とブランド力を高めるのが狙い。テレビ視聴者が減り、経営環境が厳しさを増すなか、独自のコンテンツとノウハウを蓄えて生き残りに賭ける。

青白い光の中に、モニターが浮かび上がる。宇宙船の司令室を思わせる部屋は、大分朝日放送(大分市)の4Kプレビュールームだ。同社は2015年、2500万円を投じて、全国で初めて撮影から編集まで一貫して行う4Kシステムを整備した。

「どこもやっていないのは、むしろチャンス」と上野輝幸社長は意気込む。単発の4K番組のほか、昨年6月から毎週土曜日に15分のレギュラー番組を制作し、くじゅう連山のミヤマキリシマや由布院温泉など九州の名所や文化を伝える。すでにストックは120本近くあり、映像配信サービスの「ひかりTV」やCATVにも番組を販売している。

4Kの本放送は来年12月にBSで始まるが、地上波しか持たない地方局には、本来差し迫った需要がない。にもかかわらず挑戦するのは「従来通りキー局の番組をかけるだけでは生き残っていけない」(上野社長)との危機感からだ。

社員の意識変化

新技術の導入には「局のブランド化につながる」との狙いもある。同社は開局して24年と歴史が浅く、まだ地域での知名度は低い。社員にもマイナー意識があったが、4K導入後は全国の局から視察が相次いだ。

総務省の補助金も獲得し、海外向け番組の制作機会も得た。「地方局であってもコンテンツを作り、全国へ発信する姿勢がなければ今後、戦っていけない。今は新しいことをやるんだという意識が社員にも芽生えつつある」(上野社長)

石川テレビ放送(金沢市)も意欲的に取り組む局の1つだ。社内に編集室を備え、15年8月から毎週土曜に「新ふるさと人と人」を放送している。

工芸の街であり、人間国宝が多い土地柄を生かし、九谷焼や加賀友禅などの伝統工芸や人々の暮らしを記録する。木下敦子ディレクターは「(高画質の4Kは)風景に強いイメージだが、職人の顔や手のシワなどにも人生が見える」と言う。

専用の撮影や編集の機材が必要になる4K番組の制作には、人員と費用がかかると二の足を踏む局も多い。だが、同社の崎川洋司制作部長は「コストは思ったほどかからなかった」と明かす。ハイビジョン化の際はカメラ一式の整備に約2700万円かかったが、4Kの場合は1400万円程度とほぼ半額ですんだという。

制作体制もディレクター、カメラマン、音声の3人で地上波の番組と同じだ。データ量が大きいため映像の読み込みやコピーに多少時間はかかるが「長くても10日で仕上がる。制作費も1本20万円ほどで、地上波と大差はない。無理なくできている」(木下ディレクター)。

旅番組を再編集

インバウンド需要の高まりを背景に、コンテンツを直接海外に発信しようとする動きもある。札幌テレビ放送(札幌市)は今年6月、4K番組3本を香港の映像配信サービス会社に販売した。雪祭りや北海道の風景をドローンで空撮した映像などだ。4月からは道内の駅を4Kで撮影する番組の制作も始めた。

菅村峰洋コンテンツ部マネージャーは「北海道は外国人観光客が多い。自然を美しい映像で見たいというニーズは高い」と話す。同社は7年前から海外への番組販売に力を入れる。地上波で放送した旅番組を再編集して独自に売り込み、今ではシンガポールやタイ、台湾などの放送・動画配信業者に提供している。こうした実績は4K番組の販売にとっても強みだ。

「国際市場でも年々4Kの存在感は増している」(菅村マネージャー)。韓国は冬季オリンピックに合わせ、今年世界で初めて4Kの地上波放送を開始した。ネットを利用する動画配信業者も世界中に増えている。映像コンテンツは不足し、需要は高まっている。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は「地方からでも世界を驚かす番組を届けられる環境が整いつつある。4Kは地方局が生き残るための大きな武器になるかもしれない」とみる。

【文化部 赤塚佳彦】
(日本経済新聞 2017.12.23)




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