「広瀬すず」「竹内涼真」ひっぱり凧の陰に
芸能界“重大”問題
現在、芸能界では、10代の俳優不足という“重大”問題が起こっている。映画やドラマなどで高校生役をこなしているのは、どこかで観たような顔ぶればかり。
女優では、広瀬すず(19)に仕事のオファーが一極集中している。一方、男優では、20代半ばの菅田将暉や竹内涼真が、学ラン姿で演じるほかない有り様なのだ。
11月20日、NHKは2019年度前期放送の朝ドラ「夏空」のヒロインに、広瀬を起用すると発表。
日本アニメの草創期に北海道十勝で、アニメーターを志した女性の高校生時代から40歳前後までを演じるという。
「NHKは、再来年の放送にもかかわらず、『夏空』のヒロイン発表を行った理由について、女性記者が過労死したことで導入された“働き方改革”を挙げました」
と解説するのは、スポーツ紙の芸能担当記者。
「1日の撮影時間を短縮せざるを得ず、これまでよりも早めにドラマ制作に取りかからねばならないからということでした。とはいえ、『夏空』は朝ドラの100作目に当たるのですが、来年の99作目『まんぷく』はキャスティングも何も決まっていません。結局、映画やドラマにひっぱり凧になっている広瀬のスケジュールを今年中に押さえておく必要があったからではないでしょうか。いまでは、高校生役を演じられる若手女優というと、広瀬くらいしか見当たらないのです」
これまでに、広瀬が高校生に扮した作品は、映画では「先生! 、、、好きになってもいいですか?」や「チア☆ダン」、ドラマでは「怪盗 山猫」や「学校のカイダン」などいくつもある。
「“制服が着られる女の子”なら、まず頭に浮かぶのが広瀬です。同学年の橋本環奈も、『セーラー服と機関銃』や『ハルチカ』などの映画で女子高生ヒロインを務めたり、また、一つ年下の永野芽郁(めい)もドラマ『僕たちがやりました』で、同じく女子高生役を演じている。この2人が広瀬に続いていますが、やはり露出の多さと知名度では、広瀬の一人勝ちで間違いありません」(同)
痛々しい
一方、男優では、広瀬のような一人勝ちがいるわけではない。
そもそも、10代の役を演じられる、10代の役者がいないのである。
そのため、例えば、「帝一の國」という映画で、高校生に扮したのは菅田将暉と竹内涼真らだった。さらに、「オー! ファーザー」では、岡田将生(まさき)が高校2年生の役で登場し、学ラン姿を披露。福士蒼汰も、「ストロボ・エッジ」で、有村架純(24)と高校生カップルを演じている。
「なかでも、最年長だと思われるのは、小栗旬です」
とは、芸能ジャーナリストである。
「当時31歳でしたが、月9の『信長協奏曲』で戦国時代にタイムスリップした高校1年生の役を務めていました。ただ、いくらなんでも痛々しいものがあった。他に、『僕たちがやりました』で、28歳だった窪田正孝が高校2年生の役。さすがに制作発表の記者会見で、“気づいたら29になるみたいな感じだし……。高校生役なんてできるかなと思って。ヒロイン(永野芽郁)とは11歳差だし、あと一つでひと回り。結構、シンドイですよ”とボヤいていました」
なぜ、芸能界に“重大”問題が起こったのか。
上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、
「広瀬さんは、『ゼクシィ』などのCMで注目を集めてから一気に主役級の女優へと駆け上がりました。これほど早いスピードでブレイクした女優はなかなかいません」
と指摘する。
「だから、広瀬さんより年下の女優が育ってきていないという印象を受ける。テレビや映画の制作者側はキャスティングで冒険しようとせず、いわば安易に広瀬さんを選び、一極集中が進むことになったわけです」
しかし、男優の方が問題はより深刻だという。
「制作者側が大コケしないようにと、知名度のある男優を選ぶようになっています。その結果、どの作品も同じような人が出ているということになって、新しい人にはスポットライトが当たるチャンスが巡ってこない。すでに売れた役者ばかりに頼り切っていては、自分で自分の首を絞めることになるのに、制作者側がそれに気づいていないのです」(同)
そのうち、高校生を演じるのが、白髪やシワの目立つようになった役者ということになるかもしれない。
(週刊新潮 2017年12月28日号)