“隠し玉”は浅田真央?
櫻井VS小泉 加藤VS桑子
平昌五輪の視聴率合戦の行方
2018年2月に開幕する平昌オリンピックの各種目の代表選手が次々と決まっていく中、テレビ各局でも“代表”が決まりつつある。連日、目にすることになる五輪キャスターだ。
現時点(12月28日)で発表されているのはTBSをのぞく、NHKと民放キー局4社。どこを見るとオリンピックをより一層楽しめるのか。テレビ事情に詳しい専門家2人に聞いた。
「全体的に、実績のある元オリンピック選手をキャスティングしていて、どの局も安心して見られるという印象です。注目したいのは、元選手ではない“坊ちゃん”キャスターの比較ですね」
そう語るのは、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)だ。碓井教授が“坊ちゃん”キャスターとくくったのは、日本テレビの櫻井翔、テレビ朝日の松岡修造、テレビ東京の小泉孝太郎のこと。いずれも父親が有名人で、“いいとこ育ちのお坊ちゃん”だ。
「ニュース番組でのキャスター歴が長く安定感のある櫻井さん、元プロスポーツ選手で熱さがみなぎる松岡さん、好感度が高くさわやかな小泉さん。特徴は三者三様ですが、漂う品の良さが共通していて、見る側にちょっとしたぜいたく感を与えてくれる存在です」
普段の報道番組とは違い、お祭りのような様相もあるオリンピック中継。そういった祝祭感を味わいたい、家族でワイワイ見たいなら「テレビ朝日がオススメです」と語るのは、芸能評論家の三杉武氏だ。テレビ朝日の五輪キャスターは松岡修造に加え、元フィギュアスケート選手の織田信成も名を連ねる。
「熱さの松岡さんに、泣きの織田さん。両極端なキャラクターで、パリピ的なノリで、スポーツとしてよりもバラエティ感覚で楽しめると思います。感情表現が豊かな織田さんは嫌味がなく、特に40代から60代の主婦層にウケるのではないでしょうか」
フィギュアの競技実績で言えば、フジテレビのキャスターに就く高橋大輔のほうが織田よりも上だが、キャスター対決ではどちらに軍配が上がるか。
女子アナ対決にも注目だ。NHKは紅白歌合戦の総合司会を務める桑子真帆アナを続けて抜擢し、フジテレビは“カトパン”こと加藤綾子アナを五輪キャスターに据えた。
「先日発表された『好きな女性アナウンサーランキング』で、カトパンは前年の2位から4位と順位を落とした一方で、桑子さんは10位から7位へとランクアップ。差が縮まってきています。アラサーの天然系女子アナ対決になると私は見ています」(碓井教授)
「桑子さんはポスト有働(由美子)としてNHKが力を入れているのがわかります。見映えもいいですし、手堅さの中に華があります。その安心感からおじさん層はチャンネルを合わせるのでは」(三杉氏)
NHKは元フリースタイルスキー・モーグル選手だった上村愛子をキャスターに起用し、周囲を桑子アナや杉浦友紀アナなどで固める布陣。美女をそろえるだけにオジサンたちの興味を引くだろう。
どの局が勝ち組になるのか。両氏ともに各局甲乙つけがたいとしながら、もし逆転があるとすれば、ある選手のキャスティングがカギを握るという。
「浅田真央さんをキャスターに持ってくることができれば勝ち組と言っていいでしょうね。各局が虎視眈々と狙っているはずです」(碓井氏)
「浅田さんはテレビに出ればみんなが見る。いまだ未定のTBSがキャスティングに成功すれば、一気に大逆転でしょう」(三杉氏)
キャスターはあくまでオリンピックを盛り上げるサポート役。とはいえ、毎日見かけることになるのだから、キャスターの好みでチャンネルを選ぶのもアリかもしれない。【本誌・秦正理】
(AERA dot. 2017年12月30日)