ハワイ島に滞在している最中も、時々、日本のテレビ番組を見ていました。
日本語放送が何局かあって、菅原文太主演のヤクザ映画を流していたり、NHKの番組を放送するチャンネルがあったりして、ニュースもあまりタイムラグなしで見られる。
2020年のオリンピックが東京に決まったことも、NHKのニュースで知りました。
実は、この件に関しては、「東京以外の2都市のどちらかになればなったで別にいいもんね」というスタンスでいたのですが、その理由はいろいろあって・・・。
まあ、決まっちゃったからには、東京五輪がこの国に、いい形で作用してくれたらいいな、と、今はそう思っています。
帰国してから、留守中の新聞をまとめて読んでいたら、朝日新聞に次のような記事がありました。
なんとなく気になって(引っ掛かって)いたことを、何人かの方々が代弁してくれていたので、記録として転載しておきます。
東京五輪、あえてもの申す
招致反対していた人は…
異論も許容を/被災地考えて
2020年東京五輪を招致する過程では、幅広い賛否の声があった。「防災の街づくりを」「被災地の復興に意識を」――。開催が決まり、反対を唱えてきた人たちは提言する。
「日本人なら立場に関係なく祝うべきだ」「喜んでないのは非国民」。東京開催決定後、ネット上にこんな書き込みが目立っている。
「なぜ水をかけるんだっていう同調圧力がある。反論しにくくならないか心配してます」。9日、東京都内のイベントでコラムニストの小田嶋隆さん(56)は言った。
「経済効果の期待を、復興や夢という言葉に包んだ違和感」を招致活動に抱いてきたという小田嶋さん。五輪開催に招致委員会は3兆円の経済効果を見込むが、競技施設整備に約4500億円かかる計画が示されている。「お金がどう使われるのか目を光らせたい」
内田樹・神戸女学院大名誉教授(62)は「商業化の進んだ最近の五輪が嫌いで、招致も同じだった」という。1964年東京五輪では、閉会式で選手たちが国籍に関係なく腕を組み、手を振りあった光景が胸に残る。「世界は仲良くできるんだと感動を覚えた」
街頭で隣国を声高にののしる姿が珍しくない今の東京。「本来、五輪は排外主義と相いれない。偏狭なナショナリズムを乗り越え、国民が成熟する機会になるなら開催の意味もある」
評論家の大宅映子さん(72)は開催決定後、テレビ番組で「イスタンブールの方がよかった」と話した。結婚直後に経験した64年東京五輪ほどの熱気がないと感じていたからだ。ただ、元々五輪は好き。「ハード面のみの充実ではだめ。外国客のもてなしなど、センスのいい五輪になってほしい」
「被災地を思えば東京だけ浮かれるわけにいかない」と唱えてきた漫画家のやくみつるさん(54)。「せめて五輪を機に防災に目配りした都市整備が進めば、開催もむだにはならないと思うが」と話す。
東京電力福島第一原発事故の問題に向き合うジャーナリストの津田大介さん(39)は「廃炉への道筋がついてから東北で開催してほしい」と述べてきた。「決まった以上、盛り上がってほしい」と語りつつ、注文をつける。「原発事故の対応に政府が本腰を入れ、東京に来た人が被災地など地方を訪れるような観光動線をうまく作ってほしい」
(松川敦志)
■都が準備会議
2020年東京五輪開催に向け、東京都は11日、猪瀬直樹知事をトップに都局長ら33人でつくる「五輪実施準備会議」を設置した。 招致活動は都スポーツ振興局を中心に進めてきたが、インフラ整備や輸送計画づくりなどに都全体でのぞむという。
■指摘されてきた2020年東京五輪の長所と短所
●長所
・経済効果(東京招致委は3兆円と試算)
・観光客が増える(招致委は大会中1010万人と試算)
・スポーツを楽しむ文化の広がり
・首都のインフラ整備促進
●短所
・東京への一極集中、地方との格差拡大
・福祉政策や教育政策が後回しになる可能性
・資材高騰による被災地の復興事業への悪影響
・首都直下地震など大災害の際の安全性
(朝日新聞 2013年9月12日)