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Channel: 碓井広義ブログ
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書評した本: 樋口尚文 『映画のキャッチコピー学』ほか

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週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。


樋口尚文 『映画のキャッチコピー学』
洋泉社 1728円

かつては「惹句(じゃっく)」と呼ばれた映画の宣伝文句。スターで押す、スケール感で煽るなどアプローチは様々だ。本書では洋画・邦画から厳選した傑作を解説していく。「凶暴な純愛映画」はリュック・ベッソン『ニキータ』。宮崎駿『もののけ姫』は「生きろ。」である。


伊集院 静 『文字に美はありや。』
文藝春秋 1728円

旅する作家による“書をめぐる旅”である。しかも時間も空間も自在な旅だ。書聖・王羲之に始まり、空海、坂本龍馬から立川談志までが並んでいる。鈴木大拙と西田幾多郎、2人が書いた「無」の一文字を見比べるだけでも刺激的だ。文字は確かにその人をあらわす。


樋口 進 『スマホゲーム依存症』
内外出版社 1382円

著者はネット依存に警鐘を鳴らしてきた医師だ。現在、働き盛り・子育て世代のスマホゲーム依存が増加中だという。依存は脳の病気であり、本人の意志や家族の支援だけでは抜け出せない。背景となるキーワードは「現実逃避」。その原因を探ることから治療が始まる。


小松健一 
『古地図片手に記者が行く
 ~「鬼平犯科帳」から見える東京21世紀』
CCCメディアハウス 1382円

人気番組『ブラタモリ』(NHK)を思わせる歴史散策ガイド本。「清水門外の役宅」から話題の富岡八幡宮まで、古地図と現在の地図を対比させながら歩くことで、「鬼平」の世界のリアルとフィクションを楽しめる。江戸と21世紀の東京が想像力で地続きになった。

(週刊新潮 2018年2月15日梅見月増大号)


伊丹十三 
『ぼくの伯父さん~単行本未収録エッセイ集』
つるとはな 2160円

没後20年の今も、『ヨーロッパ退屈日記』などの著作が書店に並ぶ。本書収録の文章が書かれたのは60~70年代。食、子育て、テレビと話題は多岐にわたる。中でも得意の会話形式による展開が見事だ。「メニューの中に、うまい物が必ず一個はある」など名言多数

(週刊新潮 2018年2月8日号)

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