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産経新聞で、ドラマ「ブラックペアン」 について解説

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TBS「ブラックペアン」 
「ドラマの自由」めぐり議論

■学会「現実と乖離」 識者「演出は当然」

大学病院を舞台にしたTBSの連続医療ドラマ「ブラックペアン」(日曜午後9時、二宮和也さん主演)に対し、日本臨床薬理学会が抗議している。劇中に登場する「治験コーディネーター」が患者に多額の負担軽減費を支払う描写などについて、「現実と乖離(かいり)」などと指摘。一方で、識者からは「ドラマ的演出は当然」との意見も出ており、“ドラマの自由”をめぐって議論を呼んでいる。(大塚創造)
                  ◇
同学会では、一般的に治験コーディネーターと呼ばれる職種とほぼ同義という「臨床研究コーディネーター」を認定している。

ドラマ内の治験コーディネーターは、新薬・医療機器の開発に必要な治験をめぐって患者と医療機関とを仲介する役で、医師を接待するシーンが複数回描かれている。同学会が劇中で特に問題視しているのが、医療機器の治験を受ける予定の患者に、治験コーディネーターが負担軽減費として300万円の小切手を手渡す場面だ。

こうした描写に対し、同学会は5月7日付で見解をTBSに送った。文書では負担軽減費について、1回の来院当たり7千~8千円が大半で、多額の負担軽減費で治験参加を誘導することは「厳に戒められて」いると指摘。その上で、患者が不信感を抱き、治験への協力が得られなければ「医療イノベーションを目指す日本にとって大きな損失」と強調し、「あまりにも現実と乖離した描写を避けていただくよう希望する」と訴えている。

TBSはこの見解を受けてドラマのプロデューサーが学会側と話し合っているといい、「実際とちょっと違う部分も誇張した表現もあるのがドラマ。最後まで見ていただければ理解は得られるのではないか」と話す。

インターネット上では、ドラマの影響力の大きさから、誤った認識を視聴者に抱かせるなどと抗議に賛同する意見の一方、ドラマはあくまでフィクションで、逆に認知度向上の好機などと抗議に否定的な意見もあり、賛否は分かれている。

このドラマについて、上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「手術成功率100%の超人的技能と秘めたる野望を持つ天才外科医が主人公だ。不可能を可能にする手術場面などダイナミックな展開で楽しませるエンターテインメント作品である」と評価する。

その上で、「(元フジテレビアナウンサーの)加藤綾子さん演じる治験コーディネーターは原作小説にはなかった脇役の一人。そのキャラクターや仕事ぶりに、他の登場人物と同様、ドラマ的な演出や味付けがなされているのは当然のことだ。物語全体がドラマというフィクションであり、現実に沿った内容に終始するのであれば、医療ドラマだけでなく、刑事ドラマも弁護士ドラマも成立しなくなる」と指摘している。

(産経新聞 2018.06.05)


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