ゲーム動画で驚異的な数字
本田翼にYouTuberは戦々恐々
「○○好き」を公言しているのに実はニワカだった……という芸能人は多いけれど、少なくとも本田翼(26)に関してはガチだったようだ。
このたび開設したYouTubeチャンネル「ほんだのばいく」に動画が初投稿されたのは、9月22日のこと。25日現在で再生数は約215万回、いわゆる“ファン”の数の目安となるチャンネル登録者は73万人である。事前にテスト配信してYouTubeに登場することはアナウンスされていたとはいえ、これは驚異的な数字。21時におよそ2時間にわたって生配信を披露すると、視聴者は約14万人にも上った。今後は、不定期に動画を公開していく旨を明かしている。
現在、チャンネルに上がっている動画は上記のテスト配信を編集したもので、編集も本田自らが行ったという。注目すべきは、本田の顔出しはないという点。殺人鬼と鬼ごっこをするサバイバルホラーゲーム「Dead by Daylight」をプレイする本田が“ギャー”“やだやだ!”と叫ぶ声とプレイ画面だけの2分の動画が、上記の数字を叩き出しているのだ。
芸能人なんだし、YouTubeに登場すれば人気が出てあたりまえでしょ……と思うなかれ。
「タレントがゲームの実況動画に関わること自体はそう珍しくありません。今年3月にケイン・コスギ(43)が『League of Legends』をプレイ配信したのは話題になりましたし、HKT48の宮脇咲良(20)も半年前からYouTubeにチャンネルを開設しています。ケインはYouTubeではなくTwitchという配信サイトでの公開で、これは視聴者数が世界一の1万人を超えた。一方で宮脇は、これまで15本を『ちゃんねる宮脇咲良』に投稿していますが、100万回再生を超えたのはゲーム内のダンスを踊っている内容で、プレイ動画そのものはせいぜい70万回再生。もちろん十分すごいのですけれど、AKBグループで3番人気の宮脇が顔出し配信してこの数字ですから、本田がいかに人気かが分かるでしょう」(芸能記者)
その差はいかにして生まれるのか。
「やっぱり本当にゲームが好きか、だと思います。ケインや本田はまえまえからゲーム好きを公言していて、プレイからも本気っぷりが分かってくる。その点、宮脇は戦略的というか、仕事でやっている感があります。ゲームと仕事でいえば、『OPENREC.tv』なるゲーム配信サイトが、吉本興業や松竹芸能といった芸能プロと契約したと先月報じられました。今後は“ゲーム実況タレント”が増えそうです。人力舎もそのひとつ。本田と同じタイミングでドランクドラゴンの鈴木拓(42)が『スプラトゥーン』をプレイしていました。“土俵”が違うとはいえ、こちらの再生数は1万回台……」(同)
本田の所属するスターダストプロモーションも上記の契約を結んでおり、「ゲーム事業部」が発足。チャンネル開設には「そこの人に頼み込んで快諾していただいて叶いました」と経緯を明かしている。
芸能人は受注産業
こうした芸能人がゲーム実況につぎつぎと参入するこうした背景には、どんな事情があるのだろうか。
上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)の分析は、
「なんといっても、ゲームをスポーツとして捉える『eスポーツ』の流行が背景にはあるでしょう。先のアジア競技大会でも種目になりましたし、東京五輪はともかく、ゆくゆくはオリンピックで採用される可能性もあります。プロのゲーマーが増えれば、同時に観戦もビジネスになるわけで、プロダクションが目をつけるのは納得です」
そこには、芸能界の構造も影響しているといい、
「基本的にタレントや俳優は『受注産業』。ドラマやCMなどのオファーを受けなければ仕事はありません。その点、ゲームの実況はオファーがなくても、自分たちが主体的に生み出せる仕事です。ですので、今後は仕事の少ないタレントのゲーム実況が氾濫する事態となるかもしれません。ただし、本当にゲーム好きかを見抜く目を視聴者は持っている。事務所に言われて動画を投稿したところで『ビジネスでやっているだけ』と炎上して終わるでしょうね。その点、本田さんの動画を見ましたが、彼女は本当に好きなものをやっている感じで、ある種の純粋さが伝わってきました。それが皆に受け入れられた背景にあるのでは」
女優として顔と名前が知られつつも、ゲーム実況できる程度にはヒマだったポジションも功を奏した……? それはさておき、これまでゲームYouTuberとして活動してきた人々は本田の登場に戦々恐々だという。
本田翼さん、堪忍してください。
先の本田の動画のコメント欄には、〈応援してます〉〈めっちゃ可愛くて草〉といったメッセージに混じって〈女性YouTuber完全に終了のお知らせです〉〈顔出しでやられたら女性youtuberは終わりですねw〉といった投稿が。
「すでに『本田翼さん、堪忍してください。』なんて動画も上がっています。投稿したのはある男性人気実況者で、内容はタイトル通りの嘆く自分を映したもの。要約すると、自分は10年間活動してきたが、本田に一発で視聴数記録が抜かれてしまったということです。まあこれは便乗したネタとしても、見栄えの良さで再生数を稼いできた女性YouTuberにとってみれば、本田翼という“プロ”に参入されては勝ち目はなく、このことを指摘する動画もまたYouTube上に散見されます。なにより芸能人が出てきたことでゲーム実況の世界にそれまでいなかった“一般人”が増え、これまで投稿者とファンが築き上げてきた文化が失われるのではと危惧する声もないわけではないのです」(ゲーム誌編集者)
そういえば、安易に「コミケ」に参入しようとして炎上した女優もいた。第一印象は好感触だった本田だが、界隈の人々との付き合い方はくれぐれも慎重に……。
(デイリー新潮 2018年9月26日)