安藤サクラがヒロインの朝ドラ
視聴率好発進でNHKも大喜び!?
NHKの連続テレビ小説が、「半分、青い。」から「まんぷく」にバトンタッチした。世界初の即席麺「チキンラーメン」を開発した日清食品の創業者・安藤百福(ももふく)と、妻の仁子(まさこ)をモデルにした作品だ。10月1日の初回視聴率は23.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録し、17年ぶりに23%を超える好発進となった。「半分、青い。」が賛否両論あっただけに、NHKとしても大喜びだろう。
ヒロインの今井福子を演じるのは安藤サクラ。カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した「万引き家族」にも出演し、話題になったばかりの演技派女優だ。上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)はこう評価する。
「安藤さんは本当にうまい女優さん。そのうまさが一番際立つのは、普通じゃない人を演じるとき。何を考えているのかわからない、何をやらかすのかわからない人をやらせたら、それこそ世界レベルです」
安藤の演技には定評があるが、うますぎることへの懸念もあるという。
「今回演じるのは夫を支える、ある意味“普通の”女性。元気で明るい朝ドラヒロインを、二重、三重に役作りし、ハイテンションで演じることが過剰演技ぎみになっています。朝からおなかいっぱいな感じは受けますね。『誰かを支えた普通の女性』は、安藤さんが演じる対象として正解なのか。これからわかることだと思います」(碓井教授)
ドラマ評論家の吉田潮さんも、似た印象を受けた。
「彼女は『やさぐれ界のスター』。さわやかな朝ドラヒロインとしてはどうしても受け付けないという人もいるかもしれませんね」
本作は朝ドラ定番の子役パートはなく、初回から安藤サクラが18歳で女学生の福子を演じる。
「子役時代がないことで、最初から夫婦の物語として入り込めるという意味では、いいのではないかと思います」(吉田さん)
夫役となる長谷川博己も初回から登場している。
「初回から出すことで、2人の関係を最初から最後まで描いていく、という意思は感じ取れます」(同)
松下奈緒に内田有紀、松井玲奈や松坂慶子といった共演女優陣も豪華だ。芦田愛菜のナレーションやドリカムの主題歌など、ほかにも魅力はいろいろある。
ドラマは始まったばかり。朝から心地よい「まんぷく」感が味わえることに期待。(本誌・太田サトル)
(週刊朝日 2018年10月19日号)