「獣になれない私たち」新垣結衣
初回から役柄を自分のものに
脚本は「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)、「アンナチュラル」(同)の野木亜紀子。主演は「逃げ恥」の新垣結衣。注目の「獣になれない私たち」(日本テレビ系)が始まった。
ヒロインの深海晶(新垣)はECサイト制作会社の営業アシスタントだ。仕事がよく出来る分、ストレスも多い。社長はやり手だが、せっかちで強引。晶は同僚や後輩の尻ぬぐいに奔走している。私生活では会社員の花井京谷(田中圭)という4年越しの恋人がいる。優しい男ではあるが、本当は晶をどう思っているのか、読み切れない。
そんな肉体的にも精神的にも、ちょっと疲れ気味の晶がビアバーで出会うのが、会計士の根元恒星(松田龍平)だ。仕事にも女性にもシニカルな男で、付き合っていたはずのデザイナー、呉羽(菊地凜子)も別の男と結婚することに。晶に軽くアプローチするが、微妙な距離でかわされる。
仕事とも恋愛とも、しっかり向き合ってるはずなのに、どこか手詰まり状態に陥っている30歳独身女性。こういうキャラクターを書かせたら、やはり野木はうまい。
また新垣も初回から役柄を完全に自分のものにしている。「誰かに恋をして、すごくすごく好きになって……。新しい恋ができたら何か変わるのかな?」なんて言われたら、次回も見るしかないではないか。ビールの苦味を持ったラブコメだ。
(日刊ゲンダイ 2018.10.17)