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デイリー新潮で、「後藤久美子」について解説

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「後藤久美子」が23年ぶりに女優復帰 
演技力は?でも大御所から大人気のナゾを解く
第1作(1969年)の公開から来年で50周年ということで「男はつらいよ50 おかえり、寅さん(仮題)」が製作されることに。製作発表会見の場に、もちろん寅さん(渥美清[1928~1996])の姿はなく、主役は23年ぶりの女優復帰という後藤久美子(44)である。“おかえり、ゴクミ”状態で、彼女の人気は衰え知らずのようで――。

製作の松竹は「シリーズ第50作」と謳っているが、「男はつらいよ」って第48作「寅次郎紅の花」(1995年)が最後だから、本来、新作は49作じゃないの? という疑問はさておき――。
ゴクミが女優に復帰だそうだ。それもスイスのジュネーブで元F1ドライバーのジャン・アレジ(54)と悠々と暮らすゴクミの元に、“松竹の天皇”山田洋次監督(87)がわざわざ長文の手紙を送ってのオファーだったという。

「ジュネーブの自宅に山田監督からお手紙をいただきまして、『こういう作品を作りたい。それにはどうしても君が必要だ。どうにか考えてもらえないか』と。その長いお手紙を読んで、監督の『男はつらいよ』に対する大きな愛情、今作への情熱がひしひしと感じられ、引き受ける、受けないを、私が考慮する権利はないと。山田監督から呼び出されたら、二つ返事で向かうんです。ハイって」(ゴクミ)

山田監督をして「どうしても君が必要だ」と言わしめるゴクミのことを、若い方はご存知ないだろう。なにせ23年ぶりの女優復帰である。いまや長女でモデルのエレナ・アレジ・後藤(21)が、日本で芸能活動をしているくらいなのだから。

ゴクミとは何者なのか、芸能記者に解説してもらおう。

「小学生の頃からモデル活動をしていましたが、84年にオスカープロモーションのオーディションに応募して4万8000人の中から1位を勝ち取りました。女優デビューは86年、『テレビの国のアリス』(NHK)でヒロインをつとめ、翌87年の大河『独眼竜政宗』(同前)では主演の渡辺謙の奥方になる愛(めご)姫の少女時代を演じて、“国民的美少女”として人気に火がつきます。

オスカーは早速、この年から、“第2のゴクミを探せ”と“全日本国民的美少女コンテスト”をスタートさせます。のちに米倉涼子(43[92年・審査員特別賞])、上戸彩(33[97年・審査員特別賞])、剛力彩芽(26[02年・予選敗退])、武井咲(24[06年・マルチメディア賞およびモデル部門賞])らを生んだミスコンです。ゴクミがオスカーをモデル事務所から芸能事務所に発展させた立役者であることは有名な話。古賀誠一社長(76)のお気に入りで、女優活動を離れたいまもオスカー社員の名刺にウラには所属タレントのトップとしてゴクミがプリントされています」

さて、女優としてはどうだったのか。

「古賀社長は、オーディションからデビューまでの2年間、ゴクミに歌や演技の英才教育を施したと後に語っています。確かに大河をはじめドラマにも立てつづけに出演しましたし、デビュー映画『ラブ・ストーリーを君に』(88年)では日本アカデミー賞の新人俳優賞は受賞していますが、その後の受賞はなかったはずです。実際、いつまでたっても台詞は棒読みでしたし、“演技が上手い”という話は聞いたことがない。ただし不思議なことに、“ゴクミは芝居が下手”と酷評するのも聞いたことがありませんね」

論評されない演技力

山田監督が熱望する「男はつらいよ」にも、ゴクミは最多出演のマドンナ(相手は寅さんでなく、甥っ子・満夫のマドンナ役)である。とはいえ、アレジを追って渡仏する前年(95年)に出演した第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」でも、相変わらず台詞は棒読みだった。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は言う。

「“女優・後藤久美子”なんて思っちゃイケない。“ゴクミはゴクミ”なんですから。確かに結婚前から、彼女の演技力云々が論評された記憶がありません。たとえ台詞が棒読みだろうと、演技が下手だろうと、それを補ってあまりある美貌が彼女の武器なんです」

そこに惚れ込んだのが、山田監督をはじめとする大御所たちだ。脚本家の倉本聰(83)もその一人だったようだ。ドラマ「火の用心」(1990年、日本テレビ)でゴクミを起用。倉本といえば、台本を一字一句変えさせないことで有名だが、ゴクミはそれを勝手にアレンジ。もちろん倉本はゴクミを呼びつけたが、内心、後悔していたとインタビューで答えている。その理由こそ、「だれだって、あの圧倒的な美少女に嫌われたくない……」(90年11月18日付日刊スポーツ)。さらに倉本は、「何年に1人という輝きを持っており、大女優になる」(90年8月3日付朝日新聞)とも……。

倉本脚本を勝手に変えるほどの気の強さも持ち合わせているゴクミだが、そこを気に入った坂本龍一(66)は、「ゴクミ語録」(角川書店)のプロデュースを買ってでたほど――。

「ゴクミ本人にその意思はなくとも、出逢ったおやじが勝手に好きになってしまう、天性のおやじキラーだったんでしょうね。その人気は全国的で、87年の新語・流行語大賞の流行語部門で“ゴクミ”が銅賞に輝きました。個人の愛称が流行語となったのは初めてでしょう」(碓井教授)

しかし96年、22歳のゴクミは、芸能界をあっさり捨ててアレジの元へ行ってしまったのだ。女優としての活動はわずか10年ほどだった。そのゴクミが帰ってくるわけである。

「男はつらいよ」全作を劇場で見ているという碓井教授が、こんな期待をする。

「シリーズの終盤では、寅さんは恋愛の指南役となって甥の満男(吉岡秀隆[48])と泉ちゃん(ゴクミ)の恋を見守る立場となり、結局、最後の48作では、加計呂麻島(鹿児島県)の海岸で、吉岡とゴクミが互いの気持ちを確かめ合って終わりました。ゴクミは実生活では、翌年にアレジと結婚(編集部註:婚姻手続きはとっておらず事実婚)するわけですが、振られた吉岡は、今度は倉本脚本のドラマ『北の国から'95 秘密』(フジテレビ)でシュウ(宮沢りえ[45])と恋に落ちます。ゴクミと人気を分けあったりえちゃんですが、彼女も貴乃花(46[当時・貴花田])との婚約破棄(93年)を経て、まだ激ヤセが報じられるなどしていた頃でした。

しかし、『北の国から2002 遺言』で、吉岡はりえちゃんにも振られ、今度は結(内田有紀[42])と出逢い、シリーズは終了する。その後、実生活では、吉岡は内田と結婚、そして離婚しました。現在、45歳のりえちゃんと43歳の内田は女優として復活していますが、そこへ44歳のゴクミが帰ってくる。どうせなら新しい『男はつらいよ』には、りえちゃんと内田も出してもらいたいですね。寅さんも、おいちゃん、おばちゃん、御前様、たこ社長も、みんないなくなっちゃってますから、彼女たちを登場させてもいいでしょう。とにかく帰ってきたゴクミに、おやじキラーとしての神通力がどれほど残っているのかにも注目したいですね」

(デイリー新潮 2018年11月11日)



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