高橋一生らが好演
「僕キセ」は今期一番のハートフルドラマ
高橋一生主演「僕らは奇跡でできている」(フジテレビ系)が今夜、最終回を迎える。主人公の相河一輝(高橋)は、恩師(小林薫)に招かれた大学で動物行動学の専任講師を務めている。家では住み込みの家政婦(本当は生みの母だった)、山田妙子(戸田恵子)と2人暮らしだ。
そしてストーリーは……という具合に説明しようとすると困ってしまう。研究者の仕事ドラマではない。事件が起きるサスペンス物でもない。歯科医の水本育実(榮倉奈々)との交流はあるが、恋愛物とも違うのだ。
一輝は幼い頃から好きな動物や生き物には夢中になれるが、それ以外のことには興味を持てない。他者と折り合いをつけることも苦手だ。
それは大人になっても変わらず、礼儀正しいけれど、世間の価値観に合わせることは眼中にない。
少年の頃、周囲の期待に応えようとして苦しくなった時、祖父(田中泯)が「やりたいならやればいい。やらなきゃって思うならやめればいい」と言ってくれたことが救いになっている。そんな一輝に影響されて、育実も学生たちも、学習困難の少年と母親も少しずつ変化していく。
というわけで、これは“生きづらさ”を抱えながら生きている人たちへの、静かな応援歌みたいなドラマなのだ。高橋の好演と相まって、地味ながらも今期一番のハートフルドラマとなった。
(日刊ゲンダイ 2018.12.12)