週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
細川展裕
『演劇プロデューサーという仕事』
小学館 1,512円
紀伊國屋ホールの場所も知らなかった青年が、幼なじみの鴻上尚史に誘われてプロデューサーになった。以来、「第三舞台」と「劇団☆新感線」を牽引して35年。本書は自伝であり、二つの劇団の活動史でもある。興行としての演劇の舞台裏は、芝居よりも劇的だ。
小林信也
『柳都新潟 古町芸妓ものがたり』
ダイヤモンド社 1,728円
北前船の時代から栄えた新潟の花柳界。しかし、「和の総合芸術」である芸妓文化も様変わりしている。名妓たちの軌跡。新人の挑戦。芸妓を社員とする株式会社の誕生。作家・スポーツライターの著者が花柳界の素顔と花街の本質に迫るヒューマン・ドキュメントだ。
円満字二郎
『四字熟語ときあかし辞典』
研究社 2,376円
日常で使われる四字熟語は数百程度。本書に収録されているのは1106語だ。意味や由来、類義の熟語との差異はもちろん、「熟読玩味」の解説を、「かめばかむほど味が出る!」で始める軽妙洒脱な文章によって豊富な用例が示される。読んで楽しむ熟語辞典だ。
(週刊新潮 2018年12月20日)
行方 均
『ジャズは本棚に在り ジャズ書と名盤』
シンコーミュージック・エンタテイメント 2,376円
著者は音楽評論家にしてレコード・プロデューサー。紹介するジャズ書の一冊目が植草甚一『モダン・ジャズのたのしみ』であることに拍手だ。続いて50年前の粟村政昭『ジャズ・レコード・ブック』というのも見事。本書に並ぶ約90冊はジャズの歴史であり現在だ。
(週刊新潮 2018年12月27日号)