「嵐ショック」列島揺らす
CM企業、テレビ、札幌ドーム
「予想せず」対応に追われる
人気アイドルグループ「嵐」の来年末での活動休止発表を受け、さまざな影響が28日、各方面に広がった。テレビ局やCMで起用した企業の関係者らは対応に追われた。グループでもソロでも、多くの出演番組やCMを持つ人気者だけに「全く予想していなかった」と衝撃を隠せない様子。嵐が毎年コンサートを開いてきた札幌ドームの関係者は活動休止を残念がり、CDショップは特設コーナーを用意した。
突然の発表に、ある民放局の社員は驚きながら「業界に与える影響は非常に大きい」と口にする。「メンバー同士がよく話し合い、今回の結論を出したのだろう。約2年後と休止まで時間をかけるのも、ファンの気持ちを考えてのことではないか」と話した。
「嵐」はグループでフジテレビ(道内はUHB)木曜夜の「VS嵐」、日本テレビ(道内はSTV)土曜夜の「嵐にしやがれ」といったテレビ番組に出演している。フジテレビは「VS嵐」の今後の放送予定について「制作上のことはお答えしていない」と述べるにとどめた。
嵐をCMなどで起用する企業からは残念と惜しむ意見や、今後の活動を応援する声が上がった。ただ、メンバーは個々に契約を結んでいるケースも多く、休止後も各社の顔として活躍する姿を見ることができそうだ。嵐はグループとして年賀状のCMに4年連続で出演。日本郵便は「年賀はがきの普及に貢献し感謝しています」とコメントした。
嵐は毎年11月、札幌ドーム(札幌市豊平区)でコンサートを開いてきた。昨年は3日間で延べ約16万人を動員。市内の宿泊施設の予約が取りづらくなるほどだった。ドームを管理運営する札幌市の第三セクター、札幌ドームは「多くのお客さんでにぎわっていただけに残念。嵐に代わるコンサートの招致を進めなければならない」(総務部)としている。
CDショップは早速、嵐のコーナーを設けた。札幌市中央区の「玉光堂四丁目店」は約80種類の関連商品を集めた。28日は開店前からファンが並び、品切れになった商品も多いという。秋本亜以里(あいり)副店長(42)は「活動休止に向けてさらに盛り上がると思うので、ファンに多くの商品を届けたい」と話す。
今回の活動休止発表について、2016年のSMAP解散を巡る騒動を、嵐のメンバーが見て「『着陸』の仕方の大切さを感じたのではないか」と、上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は指摘する。
話し合いを重ねたことを強調し、約2年後のグループ活動の休止を、時に笑顔を交えながら穏やかに伝えた嵐の“ソフトランディング(軟着陸)”。「今回、嵐が示した形は、さまざまなグループや芸能人が今後、休止や解散などの局面に立った際のロールモデルになるのではないか」とみている。
(北海道新聞 2019.01.29)
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