元乃木坂46斎藤ちはるを抜擢するテレ朝、
中堅アナウンサーはどこへ消えたのか
小川彩佳アナや宇賀なつみアナ、報道を担ってきた中堅アナウンサーの退社が相次ぎ、さらには弘中綾香アナの退社疑惑まで浮上しているテレビ朝日。一方で、今年4月には元乃木坂46の斎藤ちはるが入社し、さっそく“朝の顔”をつとめる異例の抜擢が発表された。
元乃木坂46で昨年グループを卒業した斎藤ちはるは、この4月からテレビ朝日に入社することが決定しているが、入社直後の4月から早速、朝の帯番組『羽鳥慎一モーニングショー』のアシスタントに起用される。今月いっぱいをもって退社する宇賀なつみアナの後任をつとめることになるが、研修もなしにいきなり現場に出る異例人事に驚きの声が上がっている。
テレビ局の新人アナウンサーは通常、入社後に数カ月間の研修期間を経てから現場に出る。しかし元芸能人はアナウンサーとしての経験や技量がなくとも即戦力とみなしているのだろうか、日本テレビも昨年10月、元乃木坂46メンバーの市来玲奈アナを入社半年で看板番組『行列のできる法律相談所』のアシスタントに抜擢した。
こうした流れについて「NEWSポストセブン」は、『相次ぐ入社1年目女子アナ抜擢、「30歳定年説」早める可能性』と報じた。
記事では上智大学文学部教授(メディア文化論)の碓井広義氏が、<以前はタレント性のある人を選んでアナウンサーに育てていましたが、近年はタレントをアナウンサーにしているというのが採用の傾向>としたうえで、<逆に言えば、テレビ局側は新人教育に時間をかける余裕がない><テレビ離れが指摘され始めたころから、即戦力を採用しようという動きが俄然強まってきました>と分析している。
弘中綾香アナにも退社の噂が……テレ朝の人事に不満?
一方で、テレ朝では中堅アナの退社が続出している。2009年入社の宇賀なつみアナは3月いっぱいで、2007年入社の小川彩佳アナも時期は「調整中」としながら退社を発表しており、両者とも会社を辞めてフリーアナウンサーに転身する。
テレ朝の報道を支えてきた看板アナたちの退社について、25日付の「デイリー新潮」がその背景にある問題を伝えている。テレ朝では報道番組のうち3本のメインキャスターが局アナではなくフリーアナとなっているが、<テレ朝では上層部が、番組の知名度上昇や話題作りを狙い、『他局で人気になり、フリーに転身したアナを起用しろ!』とトップダウンで指令を出す>のだという。業界内では<テレビ朝日が番組制作の方針を変えない限り、退社する女性アナは増える>と囁かれているとのことだ。
人材流出が止まらないテレ朝だが、次世代エースと評される弘中綾香アナの退社説まで浮上している。これは「FLASH」3月5日号(光文社)に詳しい。弘中アナは昨年10月に動画配信サイト「Tiktok」のアカウントを開設。セーラー服やナース服姿で撮影した動画を投稿していたが、現在は更新がストップしている。同誌によれば、<番組制作の担当部長が『アナウンサーをアイドル扱いするな』というTikTok禁止令が下り、企画が急遽中止になった。すでに撮影を終えた動画もあった弘中アナは『やれって言われたから、やっていたのに!』と怒っていた>とのことだ。
たったこれだけのことで弘中アナが退社するというのも考えづらいが、この報道後の26日、弘中アナはInstagramを開設。アカウントのトップページに<管理人さん(上司)が管理しています>と断り書きしたうえで、その意図について<『激レアさんを連れてきた。』の放送時間のお引越し“4月から土曜10時10分”を沢山の人に知ってもらう!! ><若い人たち(年齢・気持ちどちらか若ければオッケーです)と繋がる><弘中がこんな人だよと知ってもらう>と説明している。
Instagramは弘中アナなりの広報活動のひとつで会社公認のようであるが、もしテレ朝の上層部に「アナウンサーをアイドル扱い」しないとの意向があるとするなら、矛盾も生じる。もっとも、テレ朝では竹内由恵アナや田中萌アナもインスタアカウントでPR活動をしてはいるのだが。
かつて「女子アナ30歳定年説」というものがあった。女性アナウンサーは若く美しい番組アシスタントであり、30代を過ぎれば異動を促されるため20代のうちに寿退社するのが良いとされていた時代だ。しかし今時、こんな時代錯誤は通らない。20代で積んだ経験を活かし30代を過ぎても最前線で活躍する女性はもはや異端の存在ではないのだ。
だがテレ朝が報道畑の小川アナや宇賀アナを冷遇し、またバラエティで頭角を現した弘中アナを持て余しているのだとしたら、その人事は適材適所といえるのか疑問が残る。新人起用でのテコ入れは奏功するのだろうか。
(WEBマガジン「wezzy」 2019.03.01)