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デイリー新潮で、「ドラマへの遺言」関連記事

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「ニノは生意気だけど失礼にならない」 
倉本聰が語った「二宮和也」の魅力
このところ視聴率の好調ぶりが話題になっているテレビ朝日が4月から1年間のロングラン放送を開始するのが「やすらぎの刻 道」(月~金:昼12時30分~)。脚本家はテレビドラマに数々の金字塔を打ち立ててきた倉本聰氏だ。

前作に当たる「やすらぎの郷」のほか、「前略おふくろ様」「北の国から」等々で知られる倉本氏は、自身の書いたセリフへのこだわりの強さでも知られる。業界内では、「倉本脚本は一言一句変えてはならない」という不文律がある、と伝えられているほどだ。

新著『ドラマへの遺言』(碓井広義氏との共著)では、そのあたりの事情についてこう語っている(以下、引用は同書より)

「語尾を勝手に変えられると人格が変わってしまうんですよ。たとえば、高倉健さんに関するインタビューを僕が受けた際、“健さんはすてきな人ですよ。シャイなんだけれども、なんとかなんじゃないでしょうか”っていう答え方をしたとするでしょう。それを新聞記者が“高倉健はすてきな人だ。シャイだがなんとかだ”と断定的な言い切りで記事にしてしまうと、読者にはあたかも僕が上から目線で傲慢な言い方をしたように見えるわけです。会話ってのはそういうもの。シナリオは必要最低限の情報を伝える新聞記事とは違います」


そういう考えから、ある時、若い俳優に「一言一句変えないでくれ」とつい言ったところ、「倉本脚本は一言一句変えてはならない」という伝説が広まったというのが真相なんだという。

「何の脈絡もなく語尾を変えるのはいい加減にして欲しいとその若い役者さんに言ったつもりだったんですが。

誤解していただきたくないのは、若いからダメ、ではない。ニノ(二宮和也)なんかには自由に変えてくれって言ってますしね。ただし、俺のホン以上に変えてくれとは付け加えます。俺が正しいのか、おまえが正しいのか、勝負しているわけですから」

「優しい時間」(2005年)、「拝啓、父上様」(2007年)と自作に出演している二宮への倉本氏の評価はきわめて高い。もっとも、最初に仕事をした時には、倉本氏は彼のことを知らなかったという。

「僕はニノっていう役者をそれまで全然知らなくて。(『優しい時間』の際に)フジテレビが連れてきたんですけど、これはいいと思いましたね。

繊細さですね。たとえば父親の働いている姿を木の陰からそうっと見てるシーンがあったでしょう?

あそこは、映画『エデンの東』のジェームズ・ディーンが、実の母親をこっそり見に行ったところがヒントです。そんな雰囲気、気持ちの複雑さみたいなものをニノはとてもよく出していたと思う」

当時すでに二宮はトップアイドルになっていたものの、役者としての評価は定まっていなかった。そのあたりはどう見ていたのか。

「あの頃になるとテレビ局が押さえてくるのはタレントだったり歌手だったり、極端に言ったらスポーツ選手まで連れて来ちゃったでしょう? 有名ならいいっていう感じで。

だからそれに関しては一種の諦めがあったんです。ただ、ニノに会ってみて、この子はちゃんとしてるなって思いました。あいつは物おじしないんですよ。僕のことを“聰ちゃん!”って呼ぶしね。クリント・イーストウッドにも使われてた。

あいつ、イーストウッドのことを“クリントは……”って言うんですよ。生意気なんだけど、失礼な感じにならない。ナイーブさも持ってるし、あの子の才能ですね」

倉本氏は現在84歳だが、「神さまが書かせてくれている間は書き続けたいですね」と語っており、創作意欲は旺盛だ。ちなみにイーストウッドも88歳にして新作を発表している。そのうちいずれかの巨匠がまた二宮に声をかけて……なんてこともあるのかもしれない。

(デイリー新潮 2019.03.15)





ドラマへの遺言 (新潮新書)倉本聰、碓井広義新潮社



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