テレビ朝日系 土曜ナイトドラマ
『アリバイ崩し承ります』
19歳にしてアッパレな女優魂
事件の容疑者にとって、その犯行は可能か、不可能か。鍵を握るのがアリバイだ。基本的には無実であることを示す事実を指す。真犯人が罪から逃れるためにアリバイを主張すれば、捜査陣はそれを崩さなくてはならない。
浜辺美波主演「アリバイ崩し承ります」の最大の特色は、探偵役が時計店を営む20代女性であることだ。
美谷時乃(浜辺)は、亡き祖父(森本レオ)から時計修理の技術だけでなく、アリバイ崩しの能力も継承している。この設定が面白い。
原作は大山誠一郎の小説。謎解きやトリック、名探偵の活躍が軸になっているという意味で、堂々の本格ミステリーだ。ドラマでは原作に2つの大きな変更を加えている。
1つは時乃にアリバイ崩しを依頼するのが新米の若手刑事ではなく、現場経験の薄い管理官(安田顕)であること。2つ目が、原作では刑事の話を聞くだけで推理していた時乃を、現場に行けるようにしたことだ。
被害者の飲食物を利用した犯行時間のかく乱。音楽をダウンロードするタイミングによるアリバイ作り。山梨のペンションで行われた殺人では、足跡を使って捜査を混乱させていた。だが、時乃の目と頭脳は欺けない。
浜辺は、明るく楽しそうにアリバイ崩しに挑む異色探偵を好演中。毎回、お風呂や温泉でくつろぐ「サービスカット」も忘れない。19歳にしてアッパレな女優魂だ。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.03.04)