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読売新聞で、「コロナ禍の番組制作」について解説

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コロナ禍の番組制作 どう生かす?

リモート 中身あれば成立

 

碓井広義さん

メディア文化評論家

 

リモート出演者が顔だけモニターで出演する番組には、徐々に慣れていったが、見ていてどこかストレスを感じていたことは否めない。

出演者が、みなカメラの方を向いている均一な構図は奇妙だったし、顔を合わせて話をすることで生まれる間合いや呼吸は失われてしまった。制作者も苦労があったこ
とだろう。

もちろん、楽しませる番組はあった。「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)は、関ジャニ∞の村上信五とマツコ・デラックスの司会で、街の変わった話題を紹介する番組だが、緊急事態宣言後は、2人の顔すら映さず、電話での会話だけで構成する回があった。

番組の顔である司会者が声だけの出演とは、と驚いたが、十分成立していた。ネタがしっかりしており、視聴者も番組の性格を了解しているからこそだろう。

また、ドラマでも、NHKが、打ち合わせやリハーサル、収録まで完全リモートで制作した「今だから、新作ドラマ作ってみました」という野心作を生み出した。これもまた、新機軸のドラマとして見ることができた。

なるほど、テレビはこれでも行けると分かったが、では、これまで普通だと思っていたテレビは、一体何だったのかと考えてしまった。

リモートで成功したといえる番組は、どれも濃い中身があったからこそ、緊急事態下でも充実したものを見せられた。今後、漫然と作られてきた番組は、選別されていくのではないか。

生き残るのは、シンプルでも、語るべきもの、見せるべきものが確固としてある番組だろう。そして、そんなタレントも同様に重宝されるだろう。日本でテレビ放送が始まってもうすぐ70年になる。硬直化したように思えたテレビのあり方が、今回の事態で刷新されていくかもしれない。

(読売新聞 2020.06.01)

 

 


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