テレ朝「未解決の女」 バランスの妙はさながら「相棒」の女性版
今期ドラマでは、「半沢直樹」をはじめとする続編が目立つ。「未解決の女 警視庁文書捜査官」もそのひとつだ。
ヒロインの矢代朋(波瑠)が所属するのは、文書捜査が任務の「特命捜査対策室」第6係。2年前と同じだ。バディーを組む鳴海理沙(鈴木京香)も、室長の古賀(沢村一樹)も、コワモテの草加(遠藤憲一)も変わっていない。
ただ、いつも定時退庁していた財津(高田純次)が退職し、代わりに新係長として京都府警から国木田(谷原章介)が赴任してきた。
前作からの大きな変更がないことは、これまでのファンを安心させる。それは内容面も同様で、過去の事件と新たな事件が結び付けられ、最終的には2つの殺人事件が同時に解決する構造だ。
5年前の弁護士殺害事件と日雇い労働者の焼死体。10年前の大学教授殺害事件と元古書店員の死。前者は同じ文言のメッセージ、後者では「定家様」と呼ばれる藤原定家の書風がカギとなっていた。このドラマの特色である「文書」を軸とした展開が今シーズンも楽しめる。
とはいえ、見る側を飽きさせないための工夫も必要だ。第2話では、いつも鳴海の指示で動く朋が、逆に鳴海をコントロールする場面が登場した。
「定型」の安心感と「定型破り」の意外性。そのバランスが、このドラマの強みだ。女性版「相棒」にまた一歩近づいた。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.08.19)