日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ東京「三匹のおっさん」を取り上げました。
他局が絶対にマネできない
テレビ東京のチャレンジ精神
先日、雑誌の取材でテレビ東京について聞かれ、こう答えた。
「3人のおっさんが主演のドラマなんて他局では絶対にやりませんよ(苦笑)。いまだにF1層(20〜34歳の女性)をターゲットにするテレビ局が多い中、テレ東は圧倒的に視聴者数の多い中高年を大切にしています。(中略)“大人の味方”なんです」(週刊ポスト2月21日号)。
この「3人のおっさんが主演のドラマ」こそ、金曜夜7時58分の「三匹のおっさん」である。還暦を過ぎた、かつての悪ガキ三人組、剣道の達人・キヨ(北大路欣也)、柔道の達人・シゲ(泉谷しげる)、メカの達人で頭脳派・ノリ(志賀廣太郎)が夜回り隊を結成。町内で発生する事件を解決していく。
何より国際的陰謀を暴くとか、組織犯罪に挑むとか、そういう大きな話じゃないところがいい。恐喝も悪徳商法も結婚詐欺も被害者は町内の人たち。いわば“ご近所に潜む悪”を成敗する地域限定ヒーローなのだ。
先週など、北大路の家の嫁(西田尚美)がタチの悪いパート仲間(藤田朋子)に貸した金を奪還するという実に小さな事件だったが、嫁・姑の対立や孫の恋愛なども笑いと共に取り込んだホームドラマ活劇になっていた。
エッジの効いた深夜ドラマに定評のあるテレ東が、ゴールデンタイムのドラマでもチャレンジ精神を発揮し始めた1本だ。
(日刊ゲンダイ 2014.03.04)