新刊も好きですが、古本も大好きです。
ふいに読みたくなって、植草甚一・鍵谷幸信:編「コルトレーンの
世界」(白水社 1978年)を入手しました。
植草さんは、あの「ぼくは散歩と雑学が好き」の植草さんですが(笑)、鍵谷幸信さんはもう知らない人が多いかもしれない。
ジャズ評論家にして英米文学者、でした(89年没)。
現代英米詩が専門の慶大教授であり、私たちが学生の頃は、日吉の教養課程で英語の授業も担当されていました。
幸信という名前は、本当は「ゆきのぶ」だと思うのですが、みんな「コーシン」と呼んでいました。「カギヤ・コーシン・センセー」と。
そして、鍵谷先生が英語の授業をやっている教室からは、大音量のジャズが聴こえてくるという伝説があり・・・・いや、実際そうでした(笑)。
いい授業だよねえ。
それだけで、鍵谷先生の授業を受けたかった。
でも、必修科目だった英語は担当が決められていて、学生は選べなかったのだ。
一度、教室をのぞきに行ったら、本当にジャズが流れていて、鍵谷先生は教壇の上でタバコをふかしながら授業をしていました。
いい時代だなあ(笑)。
ちなみに、私の日吉時代には、まだ、この「コルトレーンの世界」は出版されていません。
日吉から三田に移って、今度は、ようやく植草甚一さんを知ることになります。
今週の「読んで、書評を書いた本」は次の通りです。
遠藤武文 『原罪』 祥伝社
猪野健治 『やくざ・右翼取材事始め』 平凡社
金重敦之 『食彩の文学辞典』 講談社
丸山圭子 『どうぞこのまま』 小径社
久住昌之 『ふらっと朝湯酒』 KANZEN
梶村啓二 『「東京物語」と小津安二郎』 平凡社新書
* これらの書評は、
発売中の『週刊新潮』(3月13日号)
読書欄に掲載されています。