日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
3月11日が掲載日だった今回は、福島原発事故関連のETV特集について書きました。
ETV特集
「ネットワークでつくる放射能汚染地図〜福島原発事故から3年〜」
故郷を追われた人たちの肉声の重み
東日本大震災から今日でちょうど3年になる。津波の被害に遭った地域の復興は徐々に進んでいるが、原発事故の被害は現在も続いている。8日のETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図〜福島原発事故から3年〜」を見て、あらためてそう思った。
震災3日後に現地入りし、放射能漏れと汚染の状況を調査した木村真三や、放射線量の計測に協力した岡野眞治など科学者たちの活動が、「ネットワークでつくる放射能汚染地図 福島原発事故から2ヶ月」として放送されたのは2011年5月。それ以降、ETV特集の枠でシリーズが継続されてきた。
今回の番組では3年前の映像も挿入しながら現状を伝えている。 87歳になる岡野博士と取材班は、福島県の飯館町や浪江町から福島市内まで、現在の放射線量を測定して回る。描き出された汚染地図には、まだまだ高い数値を示す赤いマークが広がっていた。
最も印象に残るのは、故郷を追われ避難先で暮らす人たちの肉声だ。都会の人々から「忘れられているのではないか」という苛立ち。有難いとしながらも仮設住宅の暮らしを「刑務所と同じだ」と嘆く本音。農家だった男性は「本来なら百姓一揆をやりたい」と憤る。
それでも可能な方法で汚染された大地と向き合おうとしている人たちの思いをくみ取り、支援していくことが必要だ。
(日刊ゲンダイ 2014.03.11)