日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、フジテレビ「昼顔」について書きました。
視聴率以上に「録画再生率」が高そうな1本
「男性からキレイだと思われる女と、そうじゃない女の人生って、ぜんぜん違うと思います」だなんて、いいのか、そんな本当のコトを言って。フジテレビ「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」のヒロインの一人、吉瀬美智子のセリフである。
「上戸彩が浮気妻?白戸家の娘にしか見えないんだけど」と思っていたら、ちゃんと“オトナの女”担当の吉瀬がいた。
女性雑誌編集長を夫にもつ美人妻、良き母親、瀟洒な一戸建てに住むセレブ主婦でありながら、一方ではバリバリの「平日昼顔妻」だ。この吉瀬が、偶然知り合った普通のパート主婦・上戸を禁断の世界へと誘い込む。
吉瀬の相手は才能があってアクの強い画家(北村一輝)。上戸のそれは生真面目な生物教師(斉藤工)。
だが、いずれもすんなりと不倫に走るわけではない。特に上戸は自分の気持ちを疑ったり、押さえたりしながらの一進一退が続く。いや、そのプロセスそのものがドラマの見所なのだ。
また前述のようなドキリとさせるセリフをはじめ、妻や夫がもつ“別の顔”の描写など、井上由美子の脚本が冴えている。しかも次回は吉瀬のベッドシーンも登場する。
このドラマを夫婦そろって見るのは、互いのハラを探り合う事態を招くから止めたほうがいい。その意味では視聴率以上に、最近話題の「録画再生率」が高そうな1本だ。
(日刊ゲンダイ 2014.07.29)