日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、NHKドラマ10「聖女」について書きました。
NHKドラマ10「聖女」
女優・広末涼子の起死回生なるか
NHKドラマ10「聖女」が始まった。高校生だった晴樹(永山絢斗)は、家庭教師の女子大生(広末涼子)に恋をする。勉強にも力が入り、東大に合格。だが、なぜか広末は姿を消していた。9年後、弁護士となった永山は連続殺人事件の容疑者と化した広末と再会する。
果たして彼女は犯人なのか、真相解明はこれからだ。一種のラブ・サスペンスであり、大森美香のオリジナル脚本がいいテンポで見る側を引っ張っていく。いや、それ以上に広末の“妖しさ”と“怪しさ”から目が離せないのだ。
広末が主役を務めると聞いた時、一瞬「大丈夫か?」と思った。昨年の主演ドラマ「スターマン・この星の恋」(フジテレビ系)も、主演映画「桜、ふたたびの加奈子」も、はっきり言って不発だった。それに最近も奇行だの年下俳優との不倫だの、いい噂を聞かない。一種「取扱い注意」のイメージがあった。
しかし、そんな広末の“崖っぷちパワー”が今回は活かされている。ベッドシーンも堂々たるものだし、普段からやや嘘くさい広末の微笑も、このドラマでは有効だ。
悪女か聖女か。そもそもそれは逆の存在なのか。「信用できますか?私のこと」というドラマの中のセリフも、まるで広末が視聴者に自分のことを問いかけているように聞こえた。女優・広末涼子の起死回生なるか。
(日刊ゲンダイ 2014.08.26)