「サンデー毎日」が、タモリに関する記事を掲載しました。
その中で、コメントしています。
タモリ「福岡に帰る」で
芸能界も地方分権化!?
人気番組「笑っていいとも!」が終了して半年。10月からは早くも「ヨルタモリ」(フジテレビ系)で、新しいレギュラー番組が始まったタモリ(65)。やはり芸能界はまだタモリに頼るところが大きいのかと思いきや、本人は近い将来、故郷の福岡に戻る気でいるようなのだ。
「タモリさんは、ある親しい人に『福岡で家を探せないか』と相談を持ちかけたおうです。いくら日本一の司会者とはいえ、年が明ければ70歳になりますし、自分の原点である故郷に帰りたい、ということらしいですね。元々タモリさんは、故郷への思い入れが強くありましたから」(芸能記者)
早大を中退した後、福岡で生命保険の営業マンや喫茶店のマスターなどをしていたが、抜群のキャラに注目したジャズピアニストの山下洋輔氏や漫画家の赤塚不二夫氏らが上京させ、才能を開花させたのは有名な話。ただその頃は、東京で仕事が終わるとすぐに地元へUターンしていたという。
郷土愛が強いタモリだが、「そろそろ田舎に引っこみたい」というシンプルな気持ちとともに、「地元の番組で福岡を盛り上げる」という思いも強くあるという。芸能界も地方分権の時代になるのだろうか。
芸能評論家の三杉武氏はこう言う。
「いま東京と地方は、それほど大きな差はありません。むしろ、ご当地アイドルやB級グルメ、ゆるキャラなど、地方からの文化が注目される時代です。地方からスターが誕生するのとは逆に、タモリさんのような超大物がわざわざ地方に戻って文化の担い手になる、というのは非常にユニークな発想です」
かつて、タレントの大橋巨泉氏はセミリタイアと称して、東京と海外での生活を半々にし、プライベートを重視しながら仕事を続けてきた。南こうせつは大分、柳葉敏郎は秋田など、地方に生活拠点を移す芸能人も増えている。
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)は、こんな期待を寄せる。
「福岡を大事に思っているようなので、東京発全国ネットではなく、地元の人たちと交流を図りながら負担にならない程度に仕事をされるのはどうでしょう。しかもそれが、一人ひとりに呼びかけるようなラジオだとタモリさんのよさがさらに出ると思います。『わが町のタモリさん』が、ローカル局から発信する。地方が注目されるきっかけにもなるのではないでしょうか」
芸能界が地方を元気づける起爆剤になる。そんな時代が来るかもしれない。
<ジャーナリスト・青柳雄介>
(サンデー毎日 2014.11.02号)