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産経新聞で、「秋ドラマ」序盤戦について解説

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産経新聞が、「秋ドラマ」の序盤戦に関する特集記事を掲載しました。

この中で、個々のドラマについて解説しています。


「ドクターX」「相棒」好発進、
「綾瀬×沢尻」対決は、「クドカン」低調?
秋ドラマ戦線“序盤戦”の明暗は
地上波テレビで10月期の連続ドラマが相次いでスタートした。刑事・医療ものが乱立していた一時期に比べ、多種多様なジャンルの作品が並び、各局の個性が際立っている。

録画再生が一般化した昨今は特に、リアルタイム視聴率だけが作品の良しあしを判断する指標とはいえなくなっているものの、この数字の動向に注目が集まり、話題になるのがテレビという「メディア現象」の面白さだ。秋の連ドラ序盤戦の明暗を、数字を軸に見てみたら…。

“鉄板”2作は強い

秋の連ドラで突出した高視聴率を獲得しているのが、テレビ朝日系「ドクターX~外科医・大門未知子~」(木曜午後9時)と「相棒season13」(水曜午後9時)。「ドクターX」は初回21・3%を出し、今年の民放連ドラでは7月期のフジテレビ系「HERO」初回26・5%に次ぐ高さを記録。第2話も20・9%と連続で20%を超え、絶好調だ。「相棒」も初回19・8%、第2話18・4%と、テレ朝陣がリードしている。

「ドクターX」は平成24年のスタート以来、今秋で3期目を迎える米倉涼子主演の医療ドラマ。往年の勧善懲悪の時代劇や西部劇をほうふつさせる痛快な展開が魅力で、昨年放送の第2期は全話平均23・0%という高視聴率を記録した。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は「周囲の登場人物を豪華に固め、男たちの戦いという背景を描くことで、(フリーの医師として)腕一本で患者の命を救うヒロインの魅力がより際立っている。物語も分かりやすく、毎回カタルシスがある。テレ朝は『相棒』で刑事もの、『ドクターX』で医療ものという最近の“鉄板ジャンル”をブレずに押さえている」と指摘する。

「相棒」に次ぐ新たな“稼ぎ頭”の定着は、テレ朝全体にとっても大きな強み。今期は「ドクターX」放送前の「科捜研の女」第14シリーズ(木曜午後7時58分)も初回14・4%と好発進している。「相棒」「ドクターX」という人気ドラマの季節の到来が、テレ朝全体への追い風になるかも見どころになりそうだ。

「水10」の女対決

フジテレビ系では、まず「信長協奏曲」(月曜午後9時)が、数多くのヒットドラマを生んだ「月9」初の時代劇として注目を集めている。主演の小栗旬をはじめ、柴崎コウ、向井理、山田孝之…とキャスティングも豪華。

初回15・8%、第2話13・5%と堅調な滑り出しだ。現代の高校生がタイムスリップして戦国時代へ。織田信長と容姿がそっくりだったことから入れ替わって…という奇抜な設定だが、戦国の世を丹念、重厚に描いている。

また、日テレ系では「きょうは会社休みます。」(水曜午後10時)が初回14・3%、第2話17・0%と好スタートを切った。綾瀬はるかが長年、恋人のいなかった30歳の“こじらせ女子”を好演。

碓井教授は「美人でいながらちょっと天然のとぼけた感じを醸し出せるのが綾瀬さん。その魅力と役柄がうまくマッチし、ドラマには同世代の女性が共感できるような要素も多い」と話す。

一方、同じ水曜午後10時枠にはフジ系で沢尻エリカ主演「ファーストクラス」が放送され、日テレとフジの“水10の女対決”も注目の的になっている。ファッション業界を舞台に、女性同士のマウンティング(格付け)を題材にした「ファーストクラス」は初回8・8%、第2話8・3%と、日テレがリードしている。

碓井教授は「両作はまったくタイプの異なる作品で、視聴者の好みも分かれるだろう。『ファーストクラス』はデフォルメされたどぎつい世界観が特徴で、どちらかというと深夜のノリ。逆転は難しいのでは」と推測する。

ただ、「ファーストクラス」は4月期に午後11時台から放送され、登場人物がモノローグ(独白)で毒づくといった独特の演出が評判を呼んで徐々に支持を拡大。視聴率も初回6・5%から最終話10・3%へと上昇し、今回の続編制作につながった“たたき上げ”の作品ともいえる。1時間早くなった枠で、今作もバケる可能性は秘めている。
さて、日テレとの“マウンティング・バトル”の今後は…。

クドカンドラマは低調なのか?

やはり今期は、この人抜きには語れない。TBS系では「半沢直樹」を放送した日曜午後9時の日曜劇場で、宮藤官九郎さん(通称・クドカン)が脚本を手掛ける「ごめんね青春!」が話題だ。宮藤さんにとっては社会現象となったNHK朝ドラ「あまちゃん」以来の連ドラとなるが、初回10・1%、第2話7・7%と、ライバルと比べて低い。仏教系の男子高とカトリック系の女子校の合併を題材に、ユーモアやパロディーをちりばめた作風は健在だが…。

碓井教授は「笑いどころも多く、まさに『クドカンワールド』。十分面白い」とした上で、「宮藤さんのドラマはもともと『分かる視聴者だけついてこい』という作風で、決して万人向けではなく、視聴率もそれほど高くなかった。『あまちゃん』の成功は、NHKの朝ドラという枠にうまくはまったことが大きい」と分析している。

岡田恵和が描く大人向け

このほか、秋の連ドラで碓井教授が注目しているのは、NHK総合の「さよなら私」(火曜午後10時)だ。「ちゅらさん」「最後から二番目の恋」などで知られる岡田恵和さんが脚本を手掛け、40代の専業主婦と独身の女性映画プロデューサーの心が入れ替わってしまうヒューマンドラマ。

碓井教授は「アラフォー女性を類型的に描くのではなく、『生身の女性』を描こうとしている大人向けのドラマ。人間の多面性が奥深く描かれている」と称賛する。

ちなみに同作の視聴率は、初回4・9%、第2話5・1%だった。
今後、秋ドラマは中盤に向けて、どんなバトルを展開するのか。やはり、視聴率が世間の注目や流行を示す分かりやすい数字であるのは確かだろう。一方で、当然ながら作品の評価を決めるのは視聴者自身でもあることも書き添えたい。(三品貴志)

=文中の視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区

(産経新聞 2014.10.25)



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