発売中の「サンデー毎日」最新号に、NHK「朝ドラ」ベストランキングという特集記事が掲載されました。
この中で、歴代の朝ドラの中からベスト3を選び、コメントしています。
以下は、私のコメント部分の抜粋です。記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。
記事タイトル:
ツウが選ぶ「朝ドラ」ベストランキング
朝ドラ通の次の6氏にそれぞれのベスト3を選んでいただいた。
亀和田武氏(作家)、コージー富田氏(タレント)、吉田潮氏(コラムニスト)、宇佐美毅氏(中央大教授)、碓井広義氏(上智大教授)、田幸和歌子氏(ライター)。
評価が高かったのは、まだ記憶に新しい「あまちゃん」(13年前期)。
碓井氏と富田氏が1位に上げている。碓井氏の2位は「ひらり」(92年後期)、3位は「マー姉ちゃん」(79年前期)。富田氏の2位は「花子とアン」(14年前期)、3位は「梅ちゃん先生」(12年前期)となっている。
「あまちゃんは朝ドラ史上に残る名作」という碓井氏が語る。
「朝ドラの王道ではなく異色作だった『あまちゃん』は、だからこそ良かったんです。それまでのように女性の一代記ではなく、わずか数年間を描くこと。ヒロインの成長物語でもなく、北三陸を含めまわりが成長していくこと。また、笑える小ネタをふんだんに取り入れていること。これらが見事に成功し、本来の朝ドラのセオリーから外れている異色作でありながら傑作でした」
それを可能にしたのは、脚本家の宮藤官九郎によるところが大きい。独特の世界観で、間口を狭めることによって深さを出した作品となっている。
優れたヒロインが登場した作品として、碓井氏は79年前期の「マー姉ちゃん」を上げる。
「藤田弓子さんと熊谷真実さん、田中裕子さんは、それぞれがヒロイン役をこなせる女優さんです。力のある女優が一つの家族を構成している強さがあります。家族という最小単位で、お互いに助け合っていく展開は、『金八先生』も担当した小山内美江子さんの脚本が優れていたといえるでしょう。それまではある意味、問題のある家族を描いてきたのですが、この作品では理想の家族を投影させたのでしょう」
朝ドラ史上最高の視聴率を誇ったのは「おしん」(83年)。平均52・6%という、今では考えられない数字である。
碓井氏も次のように語る。
「幼少期から描く、本当の意味での一代記で、朝の大河ドラマのようでした。放送時はバブル期に差しかかる時代でしたが、あえてその逆を描いた着眼点が良かった。超消費時代にあって、私たちはそんなに浮かれていていいのか、ということを貧しい時代を通して伝えてくれていたようでもあります。慧眼ですね」
(サンデー毎日 2015年1月4日/11日新春合併号)