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Channel: 碓井広義ブログ
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北海道新聞で、NHK朝ドラ「マッサン」について解説

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「マッサン」放送残り2カ月、見たいウイスキー作り 
余市編、力を入れてほしい点は? 識者2人に聞く
ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝と妻リタをモデルとしたNHK連続テレビ小説「マッサン」が昨年9月29日に始まって4カ月。今月19日の放送回から、ようやく舞台が創業の地・後志管内余市町に移った。

ドラマの中で余市工場は完成したが、肝心のウイスキーはまだ造られず、やきもきする視聴者も多いのでは。最終回まで残り2カ月。番組をよく見ている識者2人に、今後の放送で力を入れてほしい点を挙げてもらった。

玉山鉄二が演じる主人公のマッサンこと亀山政春。男性の主人公は、歴代の連続テレビ小説の中では珍しい。

本紙芸能面に「放送時評」を寄せている上智大文学部新聞学科の碓井広義教授は、「国産ウイスキーの父」の一代記として、同局が以前放送していた起業や商品開発などの苦闘を描く番組「プロジェクトX」のような要素を期待したという。

「話のテンポがちょっと遅いですね。その割に、余市の工場完成は『1年後』とテロップを入れるだけ。建設の苦労話など、描いてほしい部分が省かれている。目下の放送では工場でリンゴ汁を作っていますが、早くウイスキー造りが見たい」と残念がる。

■親子の物語 裏テーマ

一方、亀山が大阪で勤めていた会社の鴨居欣次郎社長(堤真一)、余市で世話になるニシン漁親方の森野熊虎(風間杜夫)がそれぞれ、息子との間に抱えた確執のエピソードが繰り返し登場した。

札幌在住のエッセイスト北大路公子さんは「物語がエリー自身と実母の確執で始まり、今は養女のエマとの関係も出てきました。親子の話が裏のテーマにあるのでは」とみる。

マッサンの妻エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)は献身的に夫を支え、重要な局面で解決策を打ち出すこともしばしば。「夫婦2人で1人の主人公って感じですね」と北大路さん。

その分、マッサン自身の影がやや薄い。「マッサンはエリーへの愛情表現を惜しまない。人前でも寄り添い、優しく言葉をかける。それによってマッサンの強さを表現しているのかも」と北大路さん。

碓井教授は「あの時代に単身スコットランドに渡り、(外国人の)奥さんをもらって帰国し、起業した。本来もっと破天荒で明るいキャラクターでは。目の前の出来事に右往左往し過ぎで、鴨居社長や、エリーを支えた親友のキャサリン(濱田マリ)ら大阪の強烈な面々に比べて“水割り”のよう。原酒のような濃い描写を」と要望する。

■美しい北海道映して

今後は、「ご当地ドラマ」として道内での注目度がさらに高まりそう。熊虎のニシン御殿内など室内劇のような場面が多いだけに、「ウイスキー造りの新天地として、毎回1カットでもいいから美しい北の大地を映してほしい」と碓井教授。

また、北大路さんは方言について、「北の田舎っぽい感じの言葉でお茶を濁す“イメージの北海道弁”の印象」と指摘。同じ家族の間でもレベルが違う点を気にしながら、「風間杜夫さんが言った『やっぱりお茶はお姉さんでないとね』のアクセントは、笑えるくらい完璧でした」と評価し、今後の頑張りに期待した。(渡部淳)

(北海道新聞 2015.01.31)

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