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Channel: 碓井広義ブログ
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映画の“世界観”と、つながったCM

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日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回の掲載分では、住友林業の「ずっと住みたくなる住まい」篇を取り上げました。

映画『海街diary』との、タイアップCMです。


住友林業 
家のコンセプト 映画とつながる
是枝裕和監督の新作映画『海街diary』は、鎌倉の古い家で暮らす姉妹の物語だ。しっかり者の長女(綾瀬はるか)、自由奔放な次女(長澤まさみ)、のんびりした三女(夏帆)、そこに腹違いの四女(広瀬すず)が加わる。

とはいえ、スクリーンには驚愕(きょうがく)の事件も、泣かせる難病も、気恥ずかしい大恋愛も登場しない。自分たちの居場所で積み重ねていく日常の豊かさを、静かなドラマとして描き切った秀作だ。終了後、「もっと見ていたい」と思わせる、心地よい物語的時間が流れている。

映画とのタイアップCMは珍しくないが、両者が自然につながったものは多くない。小津安二郎監督に通じる味わいを持つこの映画では、長い年月を経た家が、不在の父や母の代わりに娘たちを見守っている。帰る場所、ずっと居ていい場所としての家。それは商品のコンセプトと見事に重なるのだ。四姉妹が住む海街を、いつか訪ねてみたくなる。

(日経MJ 2015.06.29)

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