東京新聞に、「アタック25」と視聴者参加型クイズに関する特集記事が掲載されました。
こ記事の中で、解説しています。
視聴者参加型クイズ「アタック25」2000回
知識に運、勇気で挑戦
テレビ朝日系の大阪・朝日放送が制作しているクイズ番組「パネルクイズ アタック25」(日曜午後1時25分)が、19日に放送2000回を迎える。1975年のスタートから40年、故児玉清さんの司会で長年親しまれ、全国ネットのレギュラー番組で現在、唯一の視聴者参加型クイズだ。 (鈴木学)
「ルールが明確。奇をてらうことなく、先人の築いた歴史を愚直に変えないこと」。尾島憲プロデューサー(48)は長寿番組の秘訣(ひけつ)をこう話す。
解答者がタレントならトークはうまいが、一般の人は視聴者の気持ちを反映できる。「高校野球の甲子園大会に似て、ピュアな気持ちで解答者を応援できるのでは」と言う。獲得したパネル一枚につき賞金は一万円。それほど高額とはいえないが、出場希望者は多いという。
問題は難しくなりすぎないように設定し、正答は厳しく吟味する。「例えば答えが『牛若丸』で、解答者が『ぎゅうわかまる』と言った場合、それは絶対にないのか。過去の文献にあたるなど徹底して根拠を探す」という。
今年四月の放送から谷原章介(43)を三代目司会に迎えた。児玉さん、浦川泰幸アナウンサーに続く谷原の起用は、知的で六児の父という家庭的な面などから。尾島さんは「雰囲気を大事に、和やかに進めてくれている」と評する。
うまくパネルを取れば、三問の正解でも優勝できる可能性がある。「そんな逆転があり得るゲーム性が面白く、コンセプトを変えないことも良かった。知識を競うだけの番組なら廃れた」と、上智大の碓井広義教授(メディア論)は長寿の要因を分析する。
一方で、視聴者参加型クイズ番組はなぜ増えないのか。碓井氏は「クイズ番組が乱立し、猛者といえる一般解答者が出てきた。それで問題の難易度が上がり、見る側が置いていかれるようになった。視聴者の側がテレビに出ることに価値を見いださなくなってきたこともある」と言う。
名司会といわれた児玉さんは「アタック25は人生と同じ」と言ったという。尾島さんは「本当にそうだ。勝つためには知識に運、勇気も必要。隣の人が間違えて助けてくれるかもしれない」と、その言葉をかみしめる。
◆「決めポーズは、いずれ…」司会の谷原
司会の谷原章介に聞いた。
―児玉さん、浦川アナと比べて自身の特徴は。
児玉さんは冷静沈着な「ミスターアタック25」。僕としては出場者と一緒に喜んだり、応援の人も含めてコミュニケーションを大事にしている。
―番組の歴史をどう感じているか。
児玉さんと同じように36年間司会を務めたら、僕は80歳近い。すごいと思う。数年で終わらせることなく、多くの人に愛してもらえるように努めたい。
―握りこぶしを小刻みに揺らす児玉さんの「アタックチャ~ンス!」ポーズは有名。自身のポーズは固まったか。
今は自然に任せる感じで。いずれ僕のポーズもできていくでしょう。
<パネルクイズ アタック25>
赤、緑、白、青の4色の出場者がクイズに正解し、縦横5枚ずつ計25枚のパネルを「オセロゲーム」のように自分の色に変えていく。賞金は、パネル1枚につき1万円(開始当時は1枚2000円)。25枚すべて獲得のパーフェクトはこれまでに12人。パーフェクトの賞金は50万円。
誤答するとその場で起立し、続く2問の解答権を失う。見どころは、パネルが残り5枚になった時の「アタックチャンス」。正解するとパネルを1枚取り、さらに他の解答者が持っている1枚を無色に戻せる。
予選は年3回で応募は延べ約3万人。抽選で選んだ人から筆記試験、面接で出場資格を与える(1年間有効)。年齢や地域、男女のバランスなどを考えて4人(4組)ずつが出場する。
視聴率調査が始まった1979年1月からの最高視聴率は80年1月の放送回で、関東で21.5%(ビデオリサーチ調べ)。
(東京新聞 2015.07.18)