バラエティー豊かな作品の揃う今季夏ドラマ。若手主役が台頭する中、“中高年の中高年による中高年のためのドラマ”の代表格が高橋克実主演の「僕らプレイボーイズ熟年探偵社」(テレビ東京系・金曜19時58分)だ。決して高視聴率ではないが、脇を固めるのは石田純一、笹野高史、角野卓造、伊東四朗とベテラン陣がずらり。
“テレ東のお家芸枠”と、上智大学の碓井広義教授(メディア論)は太鼓判を押す。
「前作の『三匹のおっさん』に続いて独自路線を貫き、中高年の期待を裏切らないテレビ東京はさすが。さえない風貌のおっさんたちが、経験と知恵をもって事件を解決していくさまは痛快ですね」
沢村一樹やムロツヨシなど、今を時めく実力派キャストがそろったのは「ナポレオンの村」(TBS系・日曜21時)。破天荒なスーパー公務員を演じる主演の唐沢寿明が、消滅寸前の限界集落の再生のために尽力するという重いテーマだが、終始ポジティブなトーンだ。
「初回の冒頭で、東京五輪のメインスタジアムの建設話が出るなど、現実とリンクしていて、時代に忠実。閉塞感のある時代だけど、頑張ってみれば何か変わるかもしれないというような、淡い期待を抱かせてくれて、心が浄化されますね(笑)」(TVコラムニストの桧山珠美氏)
さらに、数字は良くないものの「懐かしい」「感動した」と話題を呼んでいるのが「表参道高校合唱部!」(TBS系・金曜22時)。廃部寸前の合唱部を立て直し、歌の力で学校に奇跡を起こすさわやかな青春群像劇で、デビューわずか2年だが、千人のオーディションを勝ち抜いた芳根京子が主演に大抜擢された。
「知名度がある若手より企画重視のキャストを選んでいて立派です。魅力的な若手俳優の高杉真宙や森川葵、泉澤祐希らが同級生を演じ、一人ずつ仲間になっていくベタで爽やかな展開が夏ドラ向けです」
とドラマライターの田幸和歌子氏も絶賛する。ただ、どんなに内容が良くても、視聴率が比例するかどうかは難しいところ。
「次世代のドラマ界を担う注目俳優らが出演しているので、数年後に豪華なキャストだったと“伝説化”するかもしれません」(TBS関係者)
(週刊朝日 2015年8月7日号より抜粋)