「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
玄侑宗久:監修・解説、水野 聡:翻訳 『現代語訳 十牛図』
PHP研究所 1404円
中国宋代に廓庵(かくあん)禅師が生み出した「十牛図」。禅の悟りを牛にたとえ、修業のプロセスを表現した解説図だ。古典翻訳家による現代語訳と禅僧作家・玄侑師の解説。失われた牛(自己)を探し求める旅は、日常の中で惑う現代人にも様々なことを教えてくれる。
斎藤美奈子 『名作うしろ読み プレミアム』
中央公論新社 1620円
物語の“最後の一行”にスポットを当て、名作文学を解読したのが既刊『名作うしろ読み』だった。本書では海外文学やミステリーにまでエリアを拡大。斎藤流“寸鉄批評”を存分に堪能できる。世界で最もよく知られた末尾は「万国のプロレタリア団結せよ!」だ。
重木昭信 『ミュージカル映画事典』
平凡社 18360円
誕生から現在まで、ミュージカル映画の軌跡を辿りながら、その全体像を提示した本邦初の事典である。登場する作品は約3200本。本編はもちろん、年度別作品一覧、邦題・原題・人名索引の充実ぶりにも驚かされる。これを一人で完成させた著者に拍手だ。
(週刊新潮 2016.03.31号)