発売中の「週刊新潮」最新号で、満島ひかり主演のNHK土曜ドラマ「トットてれび」について解説しています。
“レジェンド徹子”を演じる
「満島ひかり」七変化
あるときは園子温映画「愛のむきだし」で狂気を演じ、またあるときはTVドラマ「ど根性ガエル」でカエルのピョン吉(声)、さらに「シリーズ・江戸川乱歩短編集」では男役・明智小五郎までを演じては評価を高めてきた満島ひかり(30)。次に挑むのは、タマネギ妖怪、もとい黒柳徹子(82)。
4月30日よりスタートするNHK土曜ドラマ「トットてれび」は、黒柳の自伝的エッセイ「トットチャンネル」「トットひとり」(いずれも新潮社刊)が原作で、彼女がテレビ放送が始まった1953年に、NHK専属テレビ女優第1号となった草創期から振り返る。
上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)は期待を込めていう。
「黒柳さんは、確かにNHK専属女優第1号でもありますが、才能という意味でのマルチタレントの元祖でもある。声だけのラジオ放送から関わってきた放送界の“生きるレジェンド”を演じることは一筋縄ではいきません。そこにピョン吉の声だけであれほどの存在感を発揮し、何でも演じられる満島さんを持ってきたのは見事です。それにスタッフにも力が入っている」
プロデューサー・訓覇圭、演出・井上剛、音楽・大友良英といえば、あの「あまちゃん」チームであり、脚本は「花子とアン」の中園ミホ。さらにキャスティングもこれでもかというほど。
「渥美清役に中村獅童、森繁久彌役に吉田鋼太郎、永六輔役に新井浩文、濱田岳やミムラ、大森南朋、武田鉄矢など芸達者が揃っている。下手な役者が混じったら浮いてしまうでしょう」
大丈夫か? 坂本九役の錦戸亮・・・。
「しかもナレーションは小泉今日子で、黒柳自身も100歳になった本人役で出るといいますから、仕掛けも上手い。あらゆる番組が生放送だったテレビ草創期、ハラハラドキドキがあった時代のテレビをもう一度見たいという人は私を含め多いはず。たった7回などといわずにもっと見たい」
朝ドラで半年間やってもいいのでは。
(週刊新潮 5月5・12日ゴールデンウイーク特大号)