日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ東京のドラマ24「侠飯~おとこめし~」について書きました。
テレビ東京系ドラマ24「侠飯~おとこめし~」
異色の“食ドラマ”は名言もキモ
黒澤満といえば、松田優作の映画「最も危険な遊戯」やドラマ「探偵物語」などを手がけた伝説のプロデューサーである。
その名がドラマ24「侠飯~おとこめし~」(テレビ東京系)に、制作監修としてクレジットされていたので驚いた。御年83歳にしてバリバリの現役だったのだ。
三流大学に通う良太(柄本時生)は就活の真っ最中。討ち死にの日々が続いていたが、ひょんなことから逃げ込んできたヤクザの柳刃(生瀬勝久)と同居するハメになる。
しかもこの男、出自や経緯は不明だが、料理の腕前がプロ並みなのだ。
毎回のお楽しみは、柳刃が披露する、安くて簡単でうまい料理である。これまでに、「焦がし醤油のにんにくチャーハン」や「塩辛カレーリゾット」など、料理に不慣れなオトコでも実際に作れそうな品が登場した。「キッチンは俺のシマ(縄張り)だ!」とタンカを切るだけのことはある。
また、このドラマのもうひとつのキモは、料理について語る柳刃の言葉が、そのまま就活中の良太へのアドバイスになっていることだ。
「どんな食材も工夫次第(=大学のランクなど関係ない)」「他人の家の味をうらやむ必要はない(=自分の個性を大事にしろ)」といった名言が並ぶ。
「孤独のグルメ」とは、またひと味違うアプローチの“食ドラマ”。夏バテ対策にも有効だ。
(日刊ゲンダイ 2016.08.10)