日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。今回は、サッポロ黒ラベル「大人エレベーター」の松本隆さんについて書きました。
サッポロ黒ラベル 「大人EV 66歳 詩とは」編
森の緑を背に
「青春」「詩」語る
妻夫木聡さんが魅力的な大人たちに会いにゆく、サッポロ黒ラベルの「大人エレベーター」シリーズ。作詞家・松本隆さん(66)の登場に、思わず拍手だ。
1971年秋に発表された、はっぴいえんど(細野晴臣、松本隆、大瀧詠一、鈴木茂)のセカンドアルバム「風街ろまん」が忘れられない。
当時4人が挑んだのは、それまでにない“日本語によるロック”の構築だった。松本さんの歌詞には、高度経済成長が消し去った東京の原風景が、冷めたノスタルジアと共に表象されていた。
80年代に入ると、松本さんは作詞家として松田聖子に「風立ちぬ」「赤いスイートピー」などを提供。大ヒットメーカーとなっていく。
緑の森を背にした松本さん。「生きること自体が喜びである時期が青春」と語り、「詩とは心の動きだと思う」と続ける。
ああ、確かに松本隆だ。流れゆく時代と併走しながら、普遍的な世界観を言葉で刻んできた大人の男がここにいる。
(日経MJ「CM裏表」 2016.09.12)