買い物が苦手だ。
いや、本だけは何の躊躇もなく買ってしまう。本以外のものを買うのが苦手なのだ。
特に、「買うか、買わないか」「アレとコレ、どちらにしようか」などと、迷っている状態が好きになれない。
そんな時、頭の中で、「迷ったら、二つとも買え!」という島地勝彦さん(「週刊プレイボーイ」「月刊プレーボーイ」などの元編集長)の声が響く。
お会いしたことはないけど(笑)。
島地勝彦『迷ったら、二つとも買え!~シマジ流無駄遣いのススメ』(朝日新書)は、「人生の大罪は無知と退屈」と言う著者による浪費への誘いだ。
無駄遣いはセンスを磨き、教養を高め、人脈を育み、自分の身を助ける。時計、眼鏡、洋服など豊富な浪費体験を開陳し、慈しみを持ってモノと対峙すれば、無駄遣いも「文化への投資だ」と豪語する。
著者の<買い物哲学>は以下の通り。
美しいモノを見たら迷わず買え。どちらにするかで迷ったら2つとも買え。金がなかったら借金してでも買え。ただし身の丈に合った借金で。
人生は冥土までの暇つぶし。ならば、上質な暇つぶしを!というわけだ。
本書は、根が生真面目な中高年たちへのアジ演説である。