「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
多胡吉郎
『漱石とホームズのロンドン
~文豪と名探偵 百年の物語』
現代書館 2160円
同じ時代、同じ町に呼吸していた、夏目漱石とシャーロック・ホームズ。実在と架空、2人の人物が1900年代初頭のロンドンで交差する自転車、ガス灯と電灯、柔術、住居、さらに南ア戦争なども手掛かりに、著者は探偵さながらの推理力で知的冒険に挑む。
三田 完
『不機嫌な作詞家~阿久悠日記を読む』
文藝春秋 1836円
「北の宿から」「勝手にしやがれ」「UFO」などのヒット曲で知られる作詞家・阿久は、稀代の日記愛好家でもあった。遺された27冊の記を解読し、本人の言葉を手掛かりにその人生に迫ったのが本書。仕事、社会そして自身を見つめる目の鋭さに圧倒される。
一柳 慧 『一柳慧 現代音楽を超えて』
平凡社 2160円
チェロ奏者とピアニストの両親の間に生まれた一柳慧。今年83歳になる現代音楽の第一人者が、自らの軌跡と創造について語る。大きな影響を受けた前衛芸術家、ジョンケージ。刺激し合った武満徹や黛敏郎。個人史であり、音楽論であり、現代芸術史でもある。
(週刊新潮 2016.09.22号)