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Channel: 碓井広義ブログ
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毎日新聞で、「ニュース女子」BPO審議入りについて解説

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MX沖縄報告 BPO審議入り 
放送局の考査、機能したか
沖縄県の米軍基地反対運動を取り上げた東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の放送番組に「事実関係が誤っている」と批判が出ている問題で、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)は審議に入ることを決めた。

今後、局の倫理上の問題の有無を判断し、意見書をまとめる。番組はスポンサーによるいわゆる「持ち込み番組」で、局がどこまでコントロールできていたかが審議の焦点になりそうだ。

対象は、情報番組「ニュース女子」の1月2日放送分。番組では米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設への抗議活動を現地報告。「過激デモで危険」「大多数の人は米軍基地に反対とは聞かない」などと紹介した。放送後、視聴者らから「事実関係が間違っている」などと批判が相次いだ。

MXは番組を大手化粧品会社「DHC」(東京都港区)の1社提供で放送し、同社の100%子会社「DHCシアター」(同)と番組制作会社「ボーイズ」(大阪市北区)が制作している。またMXの有価証券報告書(2015年度)によると、DHCがMXの売上額の14・3%を占める最大の取引先となっている。

審議入りを決めた10日、川端委員長は記者団に「事実と違うということが、いろいろ言われていて、どれだけきちんとした裏取りがされているのかが問題になる。今回は(制作会社の作った)番組の持ち込みなので、局の考査でどれだけ(裏取りの確認が)できたかチェックしなければならない。(審議に)必要なら制作会社の協力を求める可能性はある」と述べた。

弁護士や映画監督らでつくる委員会は今後、月1回の審議を続ける。MXは「真摯(しんし)に受け止め、今後も誠意をもって審議に協力してまいります」とコメントした。

MXが加盟する日本民間放送連盟(民放連)には、持ち込み番組について内部規定がある。「留意事項」として「持ち込み番組といえども、番組である以上、内容についての責任は放送局にあるので、放送基準や関係法令に反するものは認められない。また個人的売名や一方的な意見表明の場として利用されないよう注意しなければならない」と定めている。

1社提供番組でスポンサーの子会社が番組制作も担っていることを問題視する声もある。碓井広義・上智大教授(メディア論)は「子会社といえども深層部では番組のスポンサーと作り手が合致している。1社提供番組自体に問題があるのではなく、スポンサーそのものが番組を作っているところに問題がある。自分たちが思うままに作って、それをそのまま放送できてしまう。放送に責任を持つMXがどのように考査のシステムを働かせたのか。そこが審議のポイントになる」との見方を示した。

BPOはNHKを含む放送局でつくる第三者機関で、放送倫理検証委員会のほか二つの委員会がある。先月、同じ番組内で中傷されて人権を侵害されたとして人材育成コンサルタントの辛淑玉(シンスゴ)さんが放送人権委員会(委員長・坂井真弁護士)に申し立てた。同委員会は放送倫理検証委員会とは別に今後の対応を検討する。審理入りを決めた場合は、同時進行する見通しだ。【須藤唯哉、丸山進】

(毎日新聞 2017年2月20日)

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