週刊新潮で、NHK大河「おんな城主 直虎」について解説しました。
「直虎」見るなら、
柴咲コウより阿部サダヲ
失速が伝えられるNHK大河ドラマが面白い!
ただし、主役の直虎こと柴咲コウではない。
「井伊家同様、今川の支配下にある徳川家康夫妻がいい。家康役の阿部サダヲは、昨年の『真田丸』で演じた内野聖陽よりもタヌキぶりにリアリティがある。その家康を尻に敷いていたと言われる築山殿も、auの“三太郎”CMでS嬢ぶりを発揮する菜々緒がキャラをそのまま持ってきたようで、上手いキャスティング。二人の大河のほうが面白そう」
とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。
2月26日放送の第8話「赤ちゃんはまだか」では、桶狭間の戦いに臨み、家康を叱咤激励する菜々緒が印象的だったが、直虎は?
「タイトルから分かる通り、出家中の直虎とは関係のないストーリー。直虎の実家の話であり、すっかり橋田寿賀子のホームドラマのようになっています。それだけ資料に乏しい主役で、ストーリーを作るのは難しいのでしょう」(同)
NHKはこのところ、1年おきに大河の主役に歴史上マイナーだった女性を抜擢しては、失敗している。新島襄の妻(2013年「八重の桜」)然り、吉田松陰の妹(15年「花燃ゆ」)然り。
「知らない人だからイメージも湧かないし、ストーリーがないからダイナミックにならない。安倍政権の“女性が輝く社会”にどれだけおもねっているのか知りませんが、大河の主役まで男女雇用機会を均等にする必要はないですよ」(同)
今週は桶狭間の戦いだが、むろん直虎の出陣はない。
(週刊新潮 2017.03.09号)